2013年8月17日土曜日

コミティ委託参加告知

◆コミティア委託参加告知であります
 そんなわけで、コミケからわずか一週間後のコミティア。
 告知しなくて問題ないかな?と思ったら、サークル配置番号違うよまた!?

 前回の日記の配置がまた違って、正しい配置場所は

 と-05b・BlackDwarf

 であります……何回ももう申し訳ない……

 午前中は例によって駐車場でグースカ寝ているのではないかと。
 また色紙とか適当に持っていく予定であります。

◆えむい10週年


 meが10周年ということで描いてみたえむい&9朗君。
 10年前はまだ虹裏とか知らなかったなぁ……

◆コミケの色々とか
 は、また次の更新時に……(ドチャッ

2013年8月3日土曜日

コミケ参加告知(修正)

◆コミケ参加告知
 そういや、忘れてましたがコミケ委託参加告知であります。

 二日目(日曜日)東地区・も-52b・black dwarfさんに委託させていただける予定であります。
 って書いてたらこれコミティアのサークル番号だあああああああああああ!!!!!!!

 正しくは
 二日目(日曜日)東地区・マ-09b・black dwarfさんであります……
 今さら修正とか危機的すぎる……

 サークル配置場所をコミティアのと間違えるとか凄絶な間抜けをやらかしたので
 サークルにご来訪いただいた方先着1名の方に出来る範囲での色紙のリクエスト権をプレゼント
 サークルに来て「そのたおおぜい」を発見できた方
 そのことを指摘して頂ければ出来る範囲で描きます
 手が遅いので午前中でどうか勘弁してくだされ

 ヒャッホウ

 去年末に再販したまとめ本とツヴァいさんVO(多分コピー誌として再販)を持っていく予定~
 内容の見本については、こちらとかを参照してくだされ。




 後は色紙かなぁ。

◆また暑くなりそうで……
 6日の梅雨明け以後、日記でもボヤいたとおり10月中頃まではアホみたいに暑いものと思ってたら、予想外にもここ二週間ほど割と涼しめで(ただし、これは平年並みであって、気温が低いわけじゃない)


 でも何だか今まで涼しかった分通常の3倍くらいにパワーアップした太平洋高気圧が怒りに満ちて襲いかかってきそうな気配。

◆おヒ


もう10年くらいずっと猛暑なんだから、今年くらい冷夏でもいいんじゃねと思ってしまうのだけど……

 木陰の下くらいの涼しさで過ごしたい夏。



 コミケはもう来週。
 皆様のご来訪をお待ちしつつ。

2013年8月1日木曜日

ISAS/JAXAの特別公開2013を見に行ったり(その4)

◆ISAS/JAXAの特別公開を見に行ったり(その4)

 2013年度のクイックリンク的な(その1その2その3その4(このページ)

 やっとこ最後の方にたどり着き、残るは構造機能試験棟と風洞実験棟。
 行く途中でこんなのがあったので写真に撮ったり。

液化窒素生成施設?
液化ヘリウム1リットル2000円也(値上がりしたかな?)

メーターは浪漫
◆最後の方でまたギッシリ
 構造機能試験棟は他の棟同様天井が高いんだけど、大型の実験施設が少ない?ので、開放感がある感じで。
 入口付近に休憩所とおみやげコーナーがあり、食べ物とか本が安売りしてたんだけど、手持ちがないので手が出せなかった……
 ニュートンのムックとか安売りしてたんだけどなぁ……
おみやげコーナー(かなり広かったけどその一部)

謎の構造物(本当に謎)

謎のコンテナ、特別公開中に展示しないものをしまってるのかな

謎じゃない天井クレーン
入場してまず目についたのが巨大な大気球(調査用の大型機球)と一段式再利用型ロケットの試作品。実際のロケットエンジンもだけど、パイプとコードだらけ。

 さっそくロケットの方に行ってみたり。

◆届くまでがまた一苦労で
 単段式再利用型ロケットは、何故か通信技術のコーナーに置いてあったり。
 共同展示だったのかな?
ワイヤレスセンサ搭載!

ついパイプを目で追ってしまう

後ろに大気球がちょっと見える

パイプだらけ

ちょっと角度を変えたけどやっぱりパイプだらけ
こうした再利用ロケットは、基本的に重量との戦いになる感じで。ワイヤレスセンサが使われる理由も、センサとプロセッサをつなぐゲーブルが多ければ多いほど重くなり、それだけ軌道に打ち上げるのが困難になってしまう。
 そこで、センサとプロセッサを無線LANみたいにワイヤレスで繋ぐことで、こうした重量を節約していこうという感じで。

 もっとも、構造材とパイプの数が一番効いてくる気はするので、パイプやタンクそのものを構造材の一部として考えたりする必要が出てくるんだろうなぁと(機体にかかる力を構造材だけじゃなくてパイプやタンクにも受け持たせる)。
 下の写真でも触れているけど、カーボンとかの新しい素材を取り入れていくとかも重要なんだろうなぁと。性能試験と打上げ時だけ使えればいいロケットじゃなくて、何回も使う繰り返し利用するタイプのロケットなら、高性能な素材使っても割に合う気はする。

やっぱり重い燃料タンク
シャトルもそれが原因で退役したけど、基本的には打ち上げる際のロケットの部分がペイロードよりもかなり重いというのが問題。燃料とか酸化剤とかのプロペラントを除いた重さは、運ぶ荷物の重さより軽い方がいい。
 でも軽くしたら、構造が弱くなって、ちょっとした力で壊れてしまったりするかもしれない。
 そんな難しいバランスを取りながら、開発していかなきゃならないという。

 あと面白かったのが繰り返し利用型ロケットということで、帰還時のタンク内では打上げ時とは全く違った燃料挙動になるんで(軌道上だと推力がないと無重量状態になるけど、帰還時は場合によっては逆Gになったりする)、そうした状況の中でもちゃんとエンジンを作動させることのできる研究もやってました。

 現段階ではペイロードとかはともかく、まず単段で宇宙に行くことを目標にしているとのことで、まだまだ先は長そうだけど、楽しみな感じで。

 実際に飛行して、着陸している動画もあったのだけど(垂直に数メートル?上昇してちょっと動いて着陸するだけだったけど)、見てる人多くて撮影できなかった…


ベルチェ素子でガンガン冷やすアンプ
上の写真ははやぶさからの電波信号を増幅するときとかに使われたアンプらしきもの(説明のボードを撮影し忘れたー!)。ものすごい増幅率高くても、あれほど遠くの、しかも生きてるんだか死んでるんだかよくわからない探査体からの信号をキッチリ捉えるって難しかったんだろうなぁ。ノイズの問題とかあるし。
 で、画像のアンプはあんまりに増幅率が高いんで、ベルチェ素子でガンガン冷やさなきゃならない。
 で、この写真の左側に実際に使われているベルチェ素子があったんだけど、写真に撮り忘れた……冷却側の表面に、水を流したわけでもないのに空気中の水蒸気が凍りついたらしい1cmくらいの分厚い氷の層ができていて驚いた。
 確かに冷えるわ……


説明撮影し忘れて何の写真なのか分からん
写真は、8ポート同軸管。説明撮影し忘れて、何の写真やらサッパリなのだけど、調べてみると基本的には高周波帯の(電波とかそういったものの)計測に用いられるもの。
 上下(見た目、オスメスの対応する者に見える)二つあるけど、それぞれ8つの同軸ケーブル接続口があるので、8ポートとはそういう意味ではないかと。
 導波管なのかなこれ?

信号だけでなく電力伝送も無線化とか
上の写真の左側の三角形の謎物体が、先ほどパイプとタンクの塊にしか見えなかった一段式再利用可能ロケットにカバーをかぶせた状態のもの。パネルでは、ワイヤレスセンサの他に、ワイヤレス電力伝送(あとで出てきます)も利用する予定みたいな。

◆プラズマです
 次に向かったのが火星飛行機のコーナー
未来的な形状が実に火星
機体にかかる重力が地球比で30%あるのに対して、得られる揚力は地球比で0.7~1%程度という、そんなファミコンのクソゲーにも負けず劣らずの無理ゲー。、無理難題にも程度ってモンがあるだろという無茶振りに対して、ちゃんと答えを出してくるのが科学者というか技術者というかなんというか。
 太陽電池パネルで得られる限られた電力でモーターを回して、如何に揚力を得るかという点も面白かったのだけど、今回の展示でヤケに面白かったひとつがこのコーナーに展示されていた「プラズマです」な揚力増加システム。

プラズマならどんな形でも飛べます!

プラズマだから大丈夫なのです!

全てはプラズマで説明できます!!
どうしてプラズマ何だかサッパリって感じでしたが、自分の理解できた範囲でざっくりと。

 翼というのは、翼の前から後ろに向かって(順方向の)空気が流れていると揚力が出てくる仕組みになってるわけですが(詳しくは揚力とかでググって調べると吉)、翼が空気の流れに対してある一定以上の角度になると、翼から空気の流れが離れて、後ろの方に巻き込んで、これが逆方向の流れになり、揚力を生み出す順方向の流れを失わせてしまうのです。

 これがいわゆる失速状態(もちろん他にも失速する原因は色々あります)。

揚力が失われる理由(のひとつ)
で、プラズマアクチュエータを利用すると、そこから渦巻きが発生して、翼から離れてしまうはずの空気の流れが、渦を巻きながらも翼に沿って(順方向を保ったままで)流れてくれるので、揚力が失われないという仕組み。

本当は渦巻きは翼に対して直角の軸で巻いてるんだけど
(分かりにくい)

 ここまで呼んで「ヴォルテックスジェネレータじゃねえか!!」って思った人は多分正解なんじゃないかと。
 でもヴォルテックスジェネレータと違って、必要に応じて乱流を生み出したり、生み出さなかったりできるんで、普通の飛行をしている時に無駄な空気抵抗を生み出さないし、翼端失速とか前縁失速、後端失速といった失速の種類によって、必要に応じたコントロールができるのですごい便利そうな。
 あと、スラットやフラップみたいに機械的部品が要らないので故障しにくいし、翼(空力的な)の断面形状をプラズマの調整で変更できるかもしれないという。機体の任意位置に設置できるという利点もあるし。
 それに今の飛行機だと、不意に予想外の方向から突風が吹いた時に失速したりして、機体のバランスを失う事があるのだけど、プラズマアクチュエータを利用すれば、失速しそうになった時に気体の任意の部分に能動的に渦流を発生させることで、抵抗を増やしたり減らしたり、あるいは揚力を発生させたりして、機体の制御を取り戻しやすくすることもできるみたいな。車で言えばABSとか横滑り防止装置に相当する働きができそうな。

 で、この技術実は既に実証実験に入っているそうで。
 例えば発電用風車。発電用の回転翼にこのプラズマアクチュエータを利用することで、発電効率を上げることが出来たとか(詳しくはこのあたり)。
 他にもターボジェットファンエンジンのファン部分のブレードに使えば数%の効率向上が望めるらしい。
 遠そうで近そうな技術。

 こうした技術が火星飛行機に応用されているのかと思うとちょっと面白かったり。

◆発電だけが能じゃない
 次に見たのが宇宙太陽光発電システムのコーナー。
 宇宙空間に巨大な太陽電池パネルを打ち上げてその電気をラジオ波(要するに電波)に変化して送電しようという計画なのだけど、現況での論理的な限界が6割前後(送電効率が80%、受電効率が80%で0.8×0.8=0.64の64%)なんだとか。
 でも巨大な太陽電池パネルでドバっと送電するので、そのあたりはあんまり問題にならないらしい。
 電波なんで(電波天文学のところでも触れたように)途中に雲があっても雨が降っていても問題なく受電できるところがポイント。
 
 幾つか実験があったんだけど、気になったのが模型の飛行機を(ケースの上の方から糸でぶら下げてるだけなんだけど)飛ばしているブース。
 残念なことに受電素子で電気を送ってモーター回しているとかじゃないんだけど「太陽光発電所からの送電ラジオ波を受信するための素子を使うとこういうこともできるよ」という説明。
 でもこれって凄い可能性だらけの技術。

 例えば無人機の羽に受電素子を並べて飛ばせば、太陽光発電だけの飛行機だとちょっとつらい電波の中継やらが出来るようになる。
 長時間一定地域を自動で飛ばすことができれば、被災地にいち早くやってきて被災状況を探るとか、非常用の携帯電話とかの中継基地にもなるし、地域の渋滞状況やゲリラ豪雨の予測ももっと細かくできるようになりそう。さらに複数機飛ばして連動させれば……

 送受信、勝手に動く受信体に対して送電位置をリアルタイムで変化させられるシステムとかも含めて、色々面白そうな技術でありました。
 

太陽光発電衛星の技術でこんなこともできる
◆May The FLOPS Be With You
 その次はJEDI(情報・計算工学)センター
 ロケットエンジンやらロケットそのものやら衛星やらの様々な数値モデルを作って、スーパーコンピュータで実際にはありえない(あったらシャレにならない)状況とか、早々実験できない様々な状況を計算で再現してしまおうというもの

 例えばロケット打ち上げ時の轟音は、打ち上げを見に行った人には圧倒的な迫力を感じさせてくれるけど、打ち上げられる方の衛星から見ればこんなに圧がかかったり振動したりしたら、途中でぶっ壊れちまう可能性が高くなる。できれば無いほうがいい。ロケットにしても音が出る=エネルギー効率が良くない=無駄に燃料を使って費用がかかるって、ことで、音とかは可能な限り抑えられたほうが色々都合がいい。
 でも、どうやったら音や振動が抑えられるかを実験して行ったらいくら掛かるわかわからない。

 他にも理論だけで「こんな形状の機体良い感じじゃね?」って持ってこられた時、特に極限状況で使われる機体は、実機を作るいはあまりに予算も時間もないとかよくあったり(大気圏再突入用の機体とか)。
 全開運転中のロケットエンジンの中でどんな事が起こっているのかも、手を突っ込んで調べてみるってわけにも行かない。
 そこでシミュレーションの出番ということになるわけで。
 
 こうした色々な問題をシミュレーションしていくんだけど、最近はやっぱりスパコンの計算能力の壁がシミュレーションの壁になってる感じ。
 計算手順とかの工夫(アルゴリズムとか)で最適化出来るところはあるんだろうけど、やっぱ格子点とか多くなればそれだけ演算処理に時間が掛って、自分たちがスパコンを使える時間がゴリゴリ減ることに……

 パソコンに限らず、コンピュータの処理能力は日進月歩で向上しているけど、それ故に、スパコンもひたすら買い換えまくらないと最先端の処理とかに追いつけなくなる……とても難しい……

 まさにMay The FLOPS Be With You。
 演算能力とともにあらんことを……

◆大気球とか
 会場に入った時にすぐ目についた巨大なバルーン。写真とか撮らなかったんだけど、大気球という、天文や気象観測のためによく飛ばされる巨大な風船。大気球実験室というところが、これを使った観測をやってるんだけど、大きなものを外に持ちだして観測しているもんで、なんか実験室っぽくない。
 割と頻繁に飛ばされていて、有り難みも感じにくいけど、実際はX線観測機剤を積んで上層大気あたりから天体観測するとか、地味に面白いことをやっているそうで。

 最近は、長期間上層大気に滞留できるスーパープレッシャー気球の開発も進んでいるようで……展示にはなかったけど金星用の気球とか、地球以外用の気球なんてのも作ってるのね……このあたりも展示してくれればよかったのに。

◆ロケットとか
ロケットと衛星の結合部?

フェアリングの模型?

ペンシルロケットの模型
このあたり講義みたいなのやってたんで、しっかり見たかったんだけど、時間がなかったのと人が多くて見られなかったー

スペースコロニー、気になるー
写真のスペースコロニーは宇宙構造物工学研究室のコーナーに展示してあったパネル。
 子供が宇宙折り紙してて近寄れなかった……展示そのものも簡単だったような。
 もっとよく見たかったな。

◆最後の大物
 最後に向かったのが風洞実験設備
 風洞実験設備というと、ラングリー研究所のが有名だけど、あれほど巨大で大規模ではないけど(羨ましいけどな!)、ここの風洞実験設備もなかなか。
 で、歩いて行ってまっさきに目に入ったのがこれ。

「あ!、バリュートだこれ!?」とか思ってしまった。

 聞いてみたらまさしくバリュート、ここではエアロシェルと呼んでいるけど(ここも参照)。
 どんなものかというと、減速するために空気抵抗を使うパラシュートみたいなものなのだけど、空気(気体)で膨らませるところが似てるんだか違うんだか。

 とにかく大気圏への再突入を行う際に減速するための便利アイテムだったりします。
直径は50cmくらい?かなり大きい

大から小まで色々

すでに何回か飛ばしてるそうで
だいたいこんな
だいたい理解したところだと、エアロシェルは、宇宙空間に居る段階で膨らませることができるため、より遅い速度で大気圏へ再突入する軌道を選ぶことができて、そのために、再突入時の熱を低く抑えることができるとか(エアロシェル自体がデカいので、ふんわり落ちてくる)。だから大げさな耐熱タイルとか熱シールドを使わずに済むという。
 既に退役しましたが、スペースシャトルの大気圏再突入時には、最大で1600℃前後の熱に晒された。
 もちろんこれは再突入角度とかを調整した上での温度で、実際の再突入にはもっと高くなることもある。スペースデブリを大気圏に落として焼き尽くす時には、逆に高ければ高いほうが綺麗に燃え尽きるだろうし(焼け残りが周囲に被害を及ぼさないほうが重要だけど)。
 で、このエアロシェルは、再突入角度とかを調整すれば、重さに比べての空気抵抗が大きくなるために、800℃(ケルビンだったか?)とかかなり低い温度で済むらしい。
 800℃違えば、必要な耐熱素材の性能や、断熱材の量も劇的に減るので、その分打ち上げ時の負担も減るという。
 もちろん、回収すべき機材や資料に対する熱負担も少なくなるので、その点でもありがたいみたいな。
 下の写真二枚は実際の風洞実験で使われた模型。
風洞実験で使う模型。奥のがミューロケット
大気圏再突入体のカプセル模型
手前の黒い突起状の怪しげなのは、再突入カプセルの模型。飛行機型のは初期のデザイン?

 この青っぽいのが、超音速風洞実験設備、建物の奥の方には遷音速風洞があるらしいのだけど、よく見えなかった。
超音速風洞実験設備(の、一部)
奥の方にも見学コーナーがあった
はやぶさのカプセルなんかもこの実験施設で色々試したのだとか。
 で、偶然、風洞実験の公開に立ち会うことが出来た。
 マッハ数は2.0なんで、かなり早い。
 グダグダ言うより見てもらったほうが早いのでこんな感じ。動画は一分ほど。30秒辺りから実験が始まります。実験そのものは15秒くらい?


 角度が真横っぽくてよくわかりませんでしたが、多分超音速ジェット機の模型。実際はかなり大きな音が出てました。
 で、実験を見て、帰りがけに見かけて驚いたのがこれ。

電磁シールド!!
大気圏再突入時には、断熱圧縮のお陰ですごい熱が出てくるのだけど、どんだけ熱いかというと空気がプラズマになるほど。熱はすごく嫌だけど、逆にこのプラズマになってくれれば、磁力で制御できるじゃないか!!って方法。

 先ほど出てきた太陽風を捉える磁場セイルにすごく似ている。

 色々面白い方法があるんだなぁと思った次第。

 色々見終わって脳味噌破裂しそうだったのですが、帰りがけに見かけた写真を幾つか。

近寄ると多分ビリビリする

ミューⅤロケット

デカいけど発射台はクレーンみたいなの
これは本来はLUNAR-A打ち上げのための(中抜きとかしてるけど)本物だそうで。

ミュー3SⅡロケット

かっこいいエピソードがあるらしい
こちらは模型。
 全段固体ロケットの宇宙ロケットは珍しいのだそうです。
 さて、最後は宇宙飛行士。金曜日の最後に戻ろうとしているときに見かけました。
 軽快なステップでしたが中はすごく暑そう……本物なのかなぁ?
 布地が薄そうなのでレプリカだとは思うのですが。
本物なのかな?

二日目は見つけられませんでした
そんなこんなでエラく長くなってしまいましたが。
 今回の展示もすごいみっしり感溢れる感じで非常に楽しめた次第。

 色々自分の解釈や理解でなんとなく大雑把に紹介しているので、細部の間違いその他はどうかご笑納ください。

 実際に展示に関わった方で、「こりゃちょっと」という指摘とかありましたら、コメントしていただくか、適当にメッセージでも投げて頂ければいい感じです。
(右側のフローティングメニューから「中の人の説明」を選び、Google+の基本情報ページから送信することが可能です)

◆終わりー
 疲れた……

 最初に戻る場合は「その1」へ。
 疲れきってしまった場合は14へ行け

ISAS/JAXAの特別公開2013を見に行ったり(その3)

◆ISAS/JAXAの特別公開を見に行ったり(その3)

 2013年度のクイックリンク的な(その1その2その3(このページ)その4

 ここまでのあらすじ(orz)
 JAXAの特別公開を見て無闇に興奮。その後、炎天下とはいえないものの、見ていて暑い(気温的な意味で)自立探査隊のレースを見終わって、特殊実験棟に入ったら寒かった。



◆小型科学衛星DESTINY
 さて、特殊研究棟の入口付近に陣取っていて、なんだか恥ずかしい気がする名前のDESTINY(考えすぎです)。
 一体何者かというと、はやぶさで使われたμ10エンジンの口径を二倍に、出力を大幅に向上させた新型イオンエンジンを搭載した小型科学衛星だったり。
 説明している人が「イオンエンジンの出力がはやぶさ比で三倍なので、赤く塗って角をつけたい」的なことを言っていて安心する。

古い方(2012年版?)のDESTINYの模型

2013年版の模型
このDESTINY。新しい模型の方で、太陽電池パネルが湾曲しているのにはわけがある。このDESTINYには新しいタイプの太陽電池が採用されているのだけど、これがまた非常に薄くて壊れやすいらしい。打ち上げ時の衝撃に耐えられるかどうかという問題が出てきたそうである。
 そこで、太陽電池パネルを僅かばかり曲げておくことで、剛性を高め、ついでに、折りたたんだ時にちょっとだけ小さくなるようにしてあるのだ。
 太陽電池パネルは折りたたまれた状態で打ち上げられ、軌道に乗った後、展開されるのだが、この動力源としてはバネが使われ、正しい順番で展開していくように、カムクランクのような単純な機械的な機構が用いられているらしい。 


 で、このDESTINY、打ち上げられてからイオンエンジンを使って一年半かけてやっとこ月に到達するという気の長い計画なのだが、もともとイオンエンジンはその程度の出力しか無いのだ。
 はやぶさに搭載されているμ10エンジンでは1gの重さのものに毎秒1cmの加速を与える程度。三倍といってもたかが知れている。
 その一方で、一年半も噴かしっぱなしにして壊れない、かつ燃料切れにならないというエンジンは今のところ無く、この衛星は宇宙空間でイオンエンジンがどれだけ長持ちするかという実証実験という意味合いが強い(実際に衛星に使われる場合は、軌道修正など、出力が小さくても充分な場合か、アポジモーターなどで加速して月もしくは地球スイングバイを行なって、それからイオンエンジンに切り替わるんじゃないかと)。

μ20エンジンに使われるビーム加速用パネル
さて、この丸い穴だらけの板は、μ20イオンエンジンに使われる何枚かのパネルのうちの一枚。

 カーボン製なんだそうで。カーボンというのは、金属板のようにイオンエンジンみたいにイオンを継続的に照射されても劣化しにくいとか、いろいろな特性がある反面、望んだ形や精度を出すのは非常に面倒くさい素材だそうで、こうした技術を持った会社に製造をお願いしているとのこと。この会社、核融合炉(多分JT-60saとか)の内部ブランケットも作っているそうです。
 なんかすげえ。

こちらははやぶさでも用いられたμ10のパネル
で、ここで今までどうしてもわからなかった質問を投げつけてみた。
 なんで、イオンエンジンのプロペラントが希ガスのキセノン(Xe)なのかという問題。
 希ガスだからイオン化しにくいのに、何でまたそんなのを選ぶ必要があったんだろうと以前から疑問に思っていたのだ。

 したら、色々丁寧に答えていただけました。
 キセノンを利用する理由は
  1. 希ガスの中でもイオン化しやすい(ラドン(Rn)はもっとイオン化しやすそうだけど、安定同位体が無い)
  2. 単原子分子なので、イオン化させるときに無駄にエネルギーを使わなくて済む(水素の様な二原子分子だと、まず分子結合を分離しなければならない)
  3. 原子の中では重い方なので、加速効率がいい(宇宙空間で早く移動したいなら、重いものを早く投げる必要がある)
  4. タンクに詰めると圧をかけるだけで冷やさなくても液体並みにコンパクトになる(同じ重さのものを宇宙に持って行くなら冷やす手間が要らなくて小さいほうがいい)
だいたいこんな感じで。色々納得した次第。

 ところで、全然関係ない話だけど、一昨年あたりのJAXAの特別公開では、この付近で地球以外に人間が恒久的な基地を作った時には、食料として蚕を飼うという研究があったのを思い出したり。
 糸を吐いてさらに蛹を食べられるという便利極まりない食材だということだったのだけど、最近になって昆虫食が注目されているのを見ると、なんとなく先に行っていたんだなぁと思ってしまったり。

 宇宙環境試験室に向かう途中。



 入ったら巨大化したり特殊能力が得られるんじゃろか。

◆宇宙環境試験室とプラズマロケット
 DESTINYの展示を抜けて、特殊研究棟の奥にあるのが宇宙環境試験室。
 色々ある宇宙環境実験室の中のひとつで、ここは高真空の中でのプラズマ実験とか行えるらしい。

チャンバの全体みたいな

全体とかはこっちを見たほうが詳しい

チャンバの蓋

蓋の注意書き
さて、ここでの展示でヤケに気になったのが(というか、これそのものの展示発表だったのだけど)、磁気セイル推進。
 どんなものかというと、下のパネルの写真二枚を読むとよく分かる感じで。

セイルならプロペラントを積む必要がない

前に出てきた磁気トルカに似ている

こんな感じだろうか
自分で理解した範囲で描くとこんな感じ(ちなみにこの図には間違いがあって、IKAROSは太陽光を反射した時の光圧の反動で推進力を得るタイプで、太陽風を受けて飛ぶタイプじゃなかった……)。

 地球の磁気圏みたいなのを、自分で作って、太陽風から反発するような形で進むみたいな。磁気圏が大きければ大きいほど帆が広いのと同じなので、磁気の帆を大きくしたり小さくしたりして(しかし見た目はまったく変化なく)効率よく移動することができそう。
 太陽電池パネルだと得られる電力は限られてしまうけど、逆に太陽に近い範囲で移動するなら、十分な推力が得られそう。

 土曜日にはこの実験を見学できるとの事だったのですが、見に来たら一時間待ちだったので、あきらめた。「ゲッゲッゲッゲッゲ」(CV:釘宮)



 この研究室は、これ以外にも無電極プラズマスラスタとか研究してる模様。
 例えば、μ20のような従来型プラズマスラスタと異なり、プラズマと加速電極が接触するため、電極が摩滅し、それが寿命になってしまう。加速電極なしにプラズマを生成加速出来れば、スラスタの寿命はプロペラントのみに依存することになるわけで(プロペラントの補給が可能であればずっと加速することも!)。
 ほかにも、もっと推力の高いMPDスラスタ(磁場でプラズマ化したプロペラントを噴射して推力を得る)とかも研究してるとか。

 色々面白そうなところでしたが、実験見れなくて無念。

◆温めるか冷やすか
 そんなわけで、特殊研究棟を抜けて、今度は飛翔体環境試験棟にズルズルと。
 たどり着いた宇宙環境試験室は大型恒温槽やら、大型宇宙環境試験施設といった、色々があって、出来た衛星やらを宇宙空間に近い環境にツッコんでみてぶっ壊れるか耐えぬくか、壊れた時にはどう壊れるか調べる施設(ものすごい大雑把)。

 みてみると特に温度関係の施設が多いみたいな。そういや、以前来た時には、真空チェンバの中に巨大なライトがあって、それで太陽光線を模した実験してるとか聞いた記憶が。

大型恒温槽の扉が開いたところ

大型恒温槽の説明

大型宇宙環境試験施設(の上)
今回は周囲をパネルで覆われているところが多くて、あんまり写真取れなかった。以前はプラチェーンだけで仕切られてたんだけど、越えて見に行ってしまう人が多かったんだろうな。ちょっと残念。
 で、ここは熱に関係する実験をやっているだけあって、熱に関する研究をしているところが集まっていた。
 衛星は機械だし、人間ほどじゃないけど、暑い冷たいにはやっぱり弱くて、寒い所で潤滑油もプロペラントも凍結してしまうし、暑い所で放置すりゃ内部の電子回路が一発で昇天してしまう。

 人工衛星とか探査機ってのは、運用するところそれぞれで、受ける熱にすごい差があって、実はそれが衛星の色に反映されていたり。
 例えば、金星とか水星といった、地球よりも内側の軌道で主に観測したりする衛星は基本的に銀色(というか鏡ばり)で、どうにかして熱が入らないように工夫している。太陽電池パネルも小さめで、衛星本体を太陽光線から守るために、熱シールド(日傘)を搭載しているものもある。
 逆に木星とか地球軌道の外側で主に観測をする探査体は、熱を逃がさないようにするために、断熱材が分厚いのか、真っ黒いのが多い。
 よく見る「金色の衛星」というのは、だいたいは地球~火星軌道でウロウロする衛星や探査体だけが持つ色だったりする。
暑かったり寒かったりするのが一番めどいかもしれん

 色から見てもすぐ分かるように、それぞれの用途によって工夫があるんだけど、結局は良い感じの温かさを保つため。でもこれが、やっぱりいろいろ難しいらしい。
 この温度条件は衛星の部分によって色々変わるらしくて、その値が出てた。

部分によってかなり違う
アンテナより、太陽電池パネルのほうが耐熱耐寒性能高いんだなぁ(-196℃~+200℃)。逆に一番弱いのは、電子機器じゃなくて、バッテリと推進剤タンクだった(だいたい+5℃~+35℃)。これも意外。

 で、ここではヒートパイプとかの実演をやってたんだけど、子供がたくさんいて触ることも殆どできず効果の程はよく分からなかった……
 紹介されている素材や方法はいろいろあったのだけど、目に付いたのをいくつか。

よく見るとはやぶさ
基本的に、どんな衛星でも内部が温まりすぎるのは困るので、ほどよく放熱しないとまずい。でも、ある程度の温度で内部温度が一定になってくれないと困る。でも液冷とかやったら、重くなるわ故障の原因を増やすわ(宇宙空間に修理に行くのも大変)であんまり良くないんで、衛星そのものの表面から、宇宙空間に熱を逃すしか無い。
 そこで、表面素材を工夫しようということになって、出てきたのがこの黒い素材。
 色々な素材を重ね合わせたりして放熱特性を調整して、低い温度は吐き出し、高い温度は反射するという代物。

黒が実測値、赤い線が計算値
別の温度調整用素材
もちろん、どの素材も計算通りの性能というわけにはいかず、色々苦労があるようなのだけど。あと、赤外線を綺麗に反射してくれるわけでもないので、太陽光線が直接当たらない部分にしか使えないという欠点もあるらしい。
 今のところ色々研究段階だけど、一部使われている衛星もあって、最初のほうで出てきた、はやぶさの側面の黒い部分が実はその素材なんだとか。そんなに優れているならもっと盛大に使えばいいじゃないかと思うけど、太陽光線の当たり具合とか、素材の実績とかあって、広範囲に使うのはまだ難しいみたいな。

 んでもって、説明している人が「アオシマから出たプラモデルの作例とか、他の擬人化でもほとんど再現されて無くて悲しい」とボヤいていた。細かい割にヤケに重要な部分だけど、放熱とかあんまり重視してもらえないもんねえ……

 こうした素材とかを使いながらも、日本は他の宇宙機関に比べるとまだ熱関係の研究は追いついていないとのことで、バカスカ数を飛ばして、データを得まくっているNASAとかだと、想定された環境できっちり性能を維持できるコンパクトサイズに衛星をまとめ上げてくるのだとか。
 それに比べると日本の衛星は、経年劣化なども含めて(宇宙空間に出れば、素材は劣化して最初の頃の性能は出にくくなるし、機材にも不具合が出て熱がたまりやすくなる)、熱がどれだけ出るか、放熱できるかのデータが十分に得られていないため、同じ性能でも(熱をうまく逃がすために)巨大化しやすいとの事でした。
 まだまだ途上なんだねえ……

はやぶさ側面、光ってしまっているが黒いところが新素材

 で、素材だけで内部の熱を外に出して冷やすんではなくて、窓を開け閉めして、直接熱を逃がす工夫も色いろあるようで、紹介されていたのがサーマルルーバーとかメムスラジエターとか。
 サーマルルーバーは、サイズもでかくて分かりやすいのだけど、メムスラジエターの方は、小さすぎて目の前で見てもよくわからないー。静電気力でマイクロメートル単位で加工された小さな窓(アルミフォイルを細かく加工したものにしか見えない)を開け閉めするもの。小さくても窓が開けば、熱は出る(空気で熱を運ぶわけじゃないから、PC筐体みたいにエアフローとか考える必要なし)。
 しかも実験してなかったんで、実働してるところを見れなかった。

窓を開け閉めして熱を逃がすラジエター

恐ろしく小さなラジエターをたくさん並べたもの

サーマルルーバー(暑かったら窓をあける)
さて、今回の熱系の展示ですごく面白かったのが、素材とかではなくて、人工衛星の断熱・放熱材の固定方法。

金色の衛星の外側に貼り付けられているもの
この表面に使われている素材はポリイミドフォームと言われているもので、機械的に強く、熱にも強い特性を持っているポリイミドを使った断熱素材。ポリイミドそのものは、さっきも登場した宇宙ヨットIKAROSの帆にも使われてます。

固定に用いているのはなんと普通のベルクロ
写真の通り、このポリイミドフォームを人工衛星に固定する方法は、ビスや接着剤などではなく、基本的にはベルクロなんだとか。

銀色素材でも固定はベルクロ
で、何でベルクロなのかというと、ビスで固定すると精度は出るけど重くなるし、衛星は組立途中で何回もバラしたり組み直したりすることが多く、つけたり外したりするのは手間。接着剤で固定するとそれこそくっつけたら最後、もうはがせない。そこで普通の特に芸の無いベルクロで固定することで(衛星本体側のベルクロは接着剤で固定するみたいですが)、付け外しが自由になり、衛星内部にアクセスしやすくなり、宇宙空間に出たら余程のことがないと剥がれることもないので、すごい便利なんだとか。

 あと、このポリイミドフォームを設計通りのサイズに切ったり縫い止めたりするのは基本的には全て手作業だとか(ミシンは使ってると思うけど)。
 なんともアナログな世界だったり。
 そういや、火星探査機のオポチュニティ(正式名称がマーズ・エクスプロレーション・ローバーBとかヤケに長い)が着陸時に使ったエアバッグも手作業で作られてたんだなぁと思い出す。

全部手作業……

 最先端の技術も手作業とか、ちょっとしたアイデアで支えられてるんだなぁと思いつつ暑い。

 その4に続くのです。