2014年8月27日水曜日

買っちゃった……

●買っちゃった……
現品処分品だったのでマニュアル無し


 コミケ前の忙しい時期につい……HP50G……ええ、展示品処分みたいな形だったので耐えられず……128GBならSSD買える値段でしたが……

 逆ポ……いいよね……

 あと、調べてみたら、HP-GCC使うと中のARMをネイティブ駆動できるとか、かなり無茶苦茶な仕様でした。
 HP50Gの計算機としての機能はARMプロセッサでHP-Saturnプロセッサ(動作仕様上4bitなのに、なんでか内部が64bitのレジスタがある(20bit幅もある)、セガとは無関係の高性能電卓用珍プロセッサ)エミュレートしているため、あんまり早くないけど、ネイティブでARM動かすとバカッ速。HP-Saturnプロセッサのエミュレーションを行っている間は、ARMのクロックは75MHzになってるのに、ネイティブアプリを動かす場合は203MHzになるそうで、なんでそんな珍仕様にしたんだろう……バッテリの関係?

 で、公式サイトからマニュアル・ダウンロードしたら600ページオーバーってなんですか!?(簡易マニュアルだけでも200ページ前後)
電卓だけどスナップショットも撮れる!

 使いこなすのは無理だと思うけど、随分前に使っていた48SXがキー不良で動かなくなってしまったので、その代替欲しかったので良かったかなと。

●総合画力演習の帰りに
 後輩友人らと、仮面ライダーBlackの人のステーキハウスに行ってきました。
 二年ぶり二回目
 前回リンクしていたサイトのほうが消滅してたんで、こちらの方で。


 んでもって、今回はインディアンステーキを(ハンバーグ食べようと思ったら、後輩らが大量に注文してタネを消滅させたという)。
インディアンステーキ225gくらい?
濃い目の味付けでしたが、夏の総合画力演習で疲れた体に美味しゅうございました。
 次回こそハンバーグを!

値段の20%くらいは、このコーヒーのためにある
あと、ビリーザキッドというと、食後のコーヒー。これがまた凄い美味しい。
 今回はメキスープとか、チリコンチーズを頼んだのですが、これも美味しかったー

 また行きたい感じで。

●んでもって、告知です
 夏休み最後の日と言えば良いのか、8月31日に開催されるコミティアに委託参加しまする。
 例によって、「Black Dwarf」さんのところに。
 ブース番号は

 に-27b

 であります。
 今回の本は、前回更新の内容通り、JAXA特別公開徘徊記ツヴァいさんV.S.O.P.であります。

●そういえば色紙

えっへん雷
●んでもって
ぐるぐる回る連装砲ちゃん

 色紙の方はまだ健在なので(他は無事もらわれていきました)、コミティアは無理ですが、サンクリにでも持って行こうかと。

 しかし今年の夏も更新が遅滞するレベルで暑かった……

2014年8月20日水曜日

ISAS/JAXA相模原キャンパス特別公開2014に行ってきた話(その4・終)


 そんなわけで、ヘロヘロになりつつ最後です。
 でも濃いよ!(趣味的濃度が)、熱いよ!!(物理的な意味で)

★めんどくさい人のための斜め読み用リンク★
その1その2その3その4

●大気球
 特別展示のここまでの紹介でも、電波望遠鏡や、マイクロサット搭載機材の動作とか性能確認のための試験、IKAROSのソーラーセイル展開試験、今年じゃないけどエアロシェルの実験などなど、様々な観測や実験で用いられている大気球。通常の気球とは見た目も到達高度も大きく違う「高高度気球」に分類されている。

 日本の大気球は、なんと到達高度の世界最高記録を持っているのだとか。
 ただし、ペイロードが重けりゃそれだけ到達高度も低くなってしまう訳で、最高記録した時の機材はせいぜい数キログラムだったとのこと。この辺りはまあ仕方ないし、数キログラムの機材でも多くのことを知ることが出来るようになってきたのだから、それはそれでいいのかなと。

 さて、それぞれの紹介の部分で説明してきた通り、大気球は大気が非常に薄い宇宙に近い環境が得られる高度にまで機材を持ち上げられるだけでなく、ロケットなどで打ち上げるよりも安価に、打ち上げまでのサイクルを短く出来て、コストが安い。
 ロケットと違って打ち上げ時の振動も少なく搭載する機材の条件は、ロケットを使う場合とは比べ物にならないほど緩い。これはまた、観測機器が打ち上げに伴う問題に見舞われたりすることが少なく、コストが安くできる事にもつながる訳で。
 打ち上げの高度や滞空時間などで似たような位置に観測ロケット(いわゆるイプシロンロケットなどとは別物)と呼ばれるものがあるけど、それとは差別化するための工夫も進んでいたり。
 例えば上空に到達した気球は、地上よりもはるかに強烈な太陽光に照らされ、内部の気圧が上がってしまうために、適度にガスを抜くような仕組みになっているのだけど、これが逆に気球の滞空期間を縮めてしまう原因にもなっている。
 他にも様々な理由があって、例えば、南極や北極の白夜の時期など、極めて限られた条件では40日以上飛翔運用を維持できるけど、日本から打ち上げた場合は、だいたい数時間~一日程度になってしまう。
 そこで、今までの気球よりもはるかに高い圧力に耐えられるスーパープレッシャー気球の研究が進められている。
 で、面白いのが気球が破裂する場合にも、「良い破裂」があるそうで、もっとも良いとされるのが気球全体に満遍なく裂け目が入って割れるのが良いらしい。何でそうなのかはちょっと聞きそびれてしまったり。

 あと、子供が結構居て、大気球のサンプルみたいなのを貰っていたんだけど、自分は結局もらいそびれてしまった。無念。


●観測ロケット
 特別展示とは直接関係ないんだけど、今回の色々でふと思った観測ロケットのことをちょこっと。
 観測ロケットは、基本的に観測機器を軌道上に乗せる必要のない短時間の実験や観測のために使われるロケットで、気象観測とかに使われている(いた?)ロケットと同じ用途のロケットというと分かりやすい感じで。

 観測ロケットがどんな高度まで飛ぶかは、実験や観測で必要とされる観測時間や高度によって様々だけど、大雑把に50から1500km程度。
 今日本で使われている最大の観測ロケットSS-520の場合は、弾道軌道であれば高度1000kmに140kgの観測機器(ペイロード)を打ち上げることが出来る。「そこまで打ち上げられるなら、軌道に乗せるのだってすぐじゃね?!」と思われるかもしれないけど、実際にこれに第三段エンジン(SS-520は二段式)を搭載して地球周回軌道(高度160km程度の低軌道)に乗せる場合、打ち上げ可能な観測機器(ペイロード)は14kgになってしまう。
 高度1000kmまで打ち上げられるロケットが、何故ペイロードを軌道に乗せるとなると突然性能が落ちてしまうのかというと、これはH2Bやイプシロンなどの衛星打ち上げ用ロケットはその燃料の9割が「地球の衛星軌道に乗るための速度を稼ぐために使われている」ため。

 じゃあ何で上に打ち上げられるかというと、上空に行けば空気抵抗の影響が減るので、まず真上方向に飛ぶ。打ち上げの途中でだんだん横になるのは空気抵抗と軌道に乗るための速度を稼ぐのにバランスの良い角度を選んでいるためだったり。
 もう一つ、打ち上げられるロケットが、どこの国のものでも、でもだいたい赤道に向かって、東に向かっていくのは、地球の自転速度を借りて自力で稼ぐ速度を減らせるから。
 高度を稼ぐだけなら実はあんまり苦労はなくて、単段式ロケットでもかなり上空に行ける。
 逆に言えば、真上に飛ぶだけだと、たとえ人工衛星が飛んでいる高度まで飛んだとしても、地球に落ちてしまうのだ(極端な話、静止軌道や月軌道と同じくらいに上空に登ったとしても、地球に落ちてくる)。
 地球に落ち戻らないためには、横に飛ぶ必要がある。という事だったり。
観測ロケットと打ち上げロケットの違い
上に投げてもダメなのだ

 なもんで、例えばSpace Ship Twoに代表される民間の弾道軌道往還機は、通常の衛星軌道打ち上げ用ロケットに比べると、極めて安価に「宇宙旅行」が可能になる。だけど、その一方で上空に登るだけで、そこから軌道に乗るための速度が稼げるわけではないので、行って帰ってくるだけ。無重量が体感できるのはわずか数分~十数分になってしまう。

 話はずれたけど、観測ロケットは気球には不可能な高高度まで到達することが出来たり、無重量状態を衛星軌道への打ち上げよりも安価に実現できたり(時間は限られるけど)と、気球や衛星などと相補的な使われ方をする、もう一つの手段だったり。
 こっちの方の発展も地味に期待しつつ。

●無線送電技術
 最近は非接触型の充電システムとかよく見るようになったけど、無線送電も割と地味に進歩しててる感じで。そんな無線エネルギー伝送技術なのですが、去年と比べてどうこうってわけじゃないんだけど、今年は無線機の電波でミニ四駆を動かすコーナーとか、実際に(吊り下げられた)模型飛行機のモーターを地面を模した下の板からの無線給電で動かすコーナーとかありました。

 色々面白かったけど、子供が多くてあんまよく見れなかった。無念。

 そういや、実機で実験とか出来ないのん?的な事を尋ねたところ「電波法がねー、高出力の電波使うからー、うn」的な回答を得ました。
 ああ……確かに……

●電池の話
 さて今回すごい驚いたのがバッテリ関係の展示(専用のページがなかったらしくて、ペーパーにはこのURLが載っていた)。聞けた話も、内容も盛りだくさん。
 宇宙空間で活動する探査機とかは、太陽電池パネルで得た電力を元にして動いているのだけど、太陽とかとの位置関係で時々太陽電池が発電できなくなったりすることは割とよくあるわけで、その間に観測機とかに必要な電力を供給し続けてくれるのが電池。
 人工衛星/観測機が最後まで機能を全うしていく中で、観測機器の故障以外での「人工衛星/観測機の死因」の六割以上(65%)を占め、堂々のトップとなっているのが実は電源系の障害や劣化だったり(次点は推進剤の減耗など、推進系の問題)。
 行くども死線を切り抜けた、的な表現がされることが多い「はやぶさ」や、軌道上で金星との再会合を待つ「あかつき」も、それ以外の様々な人工衛星/観測機、あるいは国際宇宙ステーションの命運を握っているのは電池と言って良いかも。

 さて、その肝心のバッテリが途中で完全に放電してしまって大変だった「はやぶさ」。その電池の中はというと、一部の電池で、電極に使われていた銅が電解質の中に融けだしてしまって、それが部分的に電池になったり、抵抗になったりして、充電池としての性能は極端に落ちしてしまっていたり(本来の性能の25%も出ない)。
 そうした性能の落ちた電池と、まだ問題の出ていない電池が回路上分けられない直列つなぎ状態で繋がっていて、それで電池の容量の復旧を少しづつしていったのだからその苦労は相当なもの。
 実際「宇宙空間であったからこそ出来た事ですので、ご家庭では決して真似しないで下さい」という方法を取ったのだとか。
「はやぶさ」の電池の復旧など
「はやぶさ」の電池復旧とか「れいめい」の電池とか

 それが功を奏して、無事電池の性能を回復させていったのだけど、そうした無茶が出来たのは「電池の中でどんな化学反応が起きたのか、今どんな状態なのか、これから何が出来るのか」を考えて再現実験で確かめていった技術者の人たちだけでなく、実際に電池を作った会社の職人さんと緊密に連絡して「この電池の構造とかから考えて、どこまでなら無茶できるか」といった相談が詳しく出来たからで、電池の、仕様には現れないギリギリの耐圧や密閉の具合を深く知る職人さんの役割はとても大きかったそうです。

「エンジニアは最後まで物を作れるわけではない(最後の部分は、どうしても実際に材料から物を作り出す、職人さん頼みになる部分は多い)。だからこそ、飛ばされたもの(探査体でも人工衛星でも)、打ち上げた以上、指令を送る以外に二度と手の届かないところに行ってしまうものを、どう把握するか、どう使うか、どこまで(徹底的に)使い倒すかがエンジニアの腕の見せどころ」。と言うのは実にエンジニアだなぁと思った次第。

 で、「はやぶさ」の帰還カプセルなのですが、これもどこに落ちたかを追跡班に教えてくれる電波ビーコン、これもまた電池で動いてるわけで。関係者の方は人事を尽くしてカプセルを地球に戻る軌道に載せたわけですが、計画よりも長く放置された電池が、最後の最後で設計通りきっちり動いてくれるかどうか。
 文字通り祈るような気持ちで見ていたんじゃないかと。
「ちゃんと動かなかったら、帰国した時に石投げられると思え」みたいな話もあったそうです。

 ここまでは観測機用の特別に設計製造された電池の話だったわけですが、こうした特別な電池を使わないで、軌道上に打ち上げられ長期間の運用がなされているのが、小型実験衛星の「れいめい」。
 民生用、つまりは市販のリチウムイオン充電池を積んでいるのだけど、電力管理をキッチリ行うことで、9年もの長期間にわたって衛星を運用し続けることに成功していたり。自分のノートPC、携帯電話やスマフォのバッテリも、そんな長持ちしないだろうなと断言できる長期間。
 電池の状態を把握することで、今の状態でできる事、できない事を判断するノウハウを貯めていっているとのことでした。
燃料電池から水を取り出す方法
無重量空間では燃料電池から出てくる水は問題

 ところで、こうした「子守に手間の掛かる電池」では色々大変だということで、子守に手間のかからない、つまり扱いの容易な様々な電池の開発が進められています。
 その一つに「イオン液体」と呼ばれるものを利用した電池があり、今回はそれが大きく取り上げられていました。これは「ほどよし」(ハローキティの人形がくっついてた、東大の超小型衛星)に搭載されて、現在実際の環境での利用と試験が進められているようです。
 さてこのイオン液体、一体何者かというと「液体の塩」という奴で、塩って塊じゃね?水に溶かさないとダメなんじゃね?って言われそうですが、水に溶かさなくても最初っから液体なのがイオン液体。色々電池にとっては便利なのだとか。
 じゃあ何で便利なのというと

  • イオンなので伝導性が凄い高い(これが低かったら電池にならないから話にならないのだけど)
  • 融点が低い(液体になっている理由は融点が低いので、常温では溶けている)
  • 真空中や高温でも蒸発、揮発しにくく燃えにくい(異常に温度が上がる事態になっても問題が起きにくい)。

 という利点があったり。
 また宇宙空間で使う場合、「塩を水に溶かしている訳ではない、それ自体が液体」で真空中でも揮発蒸発しにくいイオン液体には、別の利点も出てきて、特に今までのリチウムイオン二次電池とかみたいに凄い頑丈な箱に入れてさらにパッキンでガッチリ密閉するとかの必要がそれほど無かったり。極端な話レトルトパウチみたいなパックに入れておけば、宇宙空間でも十分働いてくれるし、安全性も高くなってくれる。頑丈なパッキンが不要になれば、衛星の重さもそれだけ軽く出来るという利点も出てくる。
 色々便利ではある一方、欠点というか解決しなければならない問題もあって

  • イオン液体は、それこそ全部イオンなので、液体中のイオンの動き方が水とかの溶媒に溶けたものに比べて遅い、そのため電池の性能が上がりにくい(イオンが動きにくいので、電子が少しづつしか出てこれない)
  • イオン液体の組成によっては、非可逆反応を起こして充電のできない一次電池になってしまう

 とかまだまだ難しいところもあったり。
 でも先に書いたとおり、今回打ち上げられた「ほどよし」には既に搭載されているし、前に紹介したPROCYONには、より進化したタイプのものが搭載される予定だとか。

 宇宙空間で電池というとまっさきに思い浮かぶのが太陽電池と燃料電池、どちらも最近は過程でも使われるようになっているけど、どっちが先に出来たのかというと実は燃料電池。
 これには、特に宇宙開発の黎明期にはいろいろな逸話があるそうで例えばアポロ宇宙船は、筒型の機械船と円すい形の司令船をくっつけた、限界まで削った色鉛筆みたいな形になっているけど、どこにも太陽電池パネルがないのは、当時はまだ人間の乗った宇宙船に搭載して、十分な電力を供給できる太陽電池パネルが実用化されていなかったため。
 太陽電池自体はアポロ以前に打ち上げられた衛星、例えばヴァンガード衛星に搭載されていて、これは6年にもわたって衛星に電力を供給している。
 逆に太陽電池パネルを搭載しなかったロシア(当時はまだソビエト)のスプートニクは、充電のできない一次電池だけを搭載していたため、寿命は三週間。アメリカ初の火星探査機、ヴァイキングの寿命がわずか一週間だったのも太陽電池パネルが搭載できず、一次電池を搭載していたためだったり。
 また、その後打ち上げられた世界初の宇宙ステーションとも言えるスカイラブには、当時やっと実用化された大型の太陽電池パネルが大急ぎで買い入れて搭載したのだとか。

 さて燃料電池の方だけど、これも色々あって、水素と酸素を反応させるタイプのものは、古くは先に話に出てきたアポロ宇宙船にも搭載されていて、退役したスペースシャトルの電力源として利用されていたり(発電の結果生成された水は国際宇宙ステーションに供給されることも)、最近では電気自動車や家庭用の電源として注目されたり。
 スペースシャトルやアポロ宇宙船で使われていた燃料電池は、アルカリ型と呼ばれるもので、その点をあまり考慮する必要がなかったらしいのですが、実際の発電効率は実はそれほど高くなかったことと、燃料電池本体にパラジウム(最近はあんまり見ないけど歯の治療とかでも使われる金属)を沢山使うんであんまり嬉しくない。そこでJAXAでは、固定電解質型燃料電池と言われるものを開発している。

 ところが宇宙空間では燃料電池にも地上とはちょっと違った工夫が必要で、例えば生成される水。水なんて人間が飲むんだから問題無いじゃんと言われそうだけど、人間が行かないところで燃料電池を使うとなるとそうも行かない。
 しかも無重量状態の中では発電した結果発生した水(水蒸気)が集まって水滴になっても、重力がないから下に落ちてくれない。結果的に燃料電池の中に溜まってしまって、発電のための膜にくっついてしまって、水素ガスや酸素ガスが触れるべき部分を減らしてしまったり、反応できなかったガスが溜まってしまったりして、発電効率が落ちてしまう。
 燃料電池の中に水が貯まるのがともかく問題になってくるのだ。
 そこで考え出されたのが、燃料電池から出てきた未反応ガスに溜まった水を遠心分離器で「脱水」しつつ発電するというもの。「脱水」されたガスは再び燃料電池に戻っていく。こうすることでガスを可能な限り使い切ることが出来て、発電効率も上がる。
 話だけ聞くと洗濯機みたいで冗談みたいだけど、これのお陰で燃料電池から効率よく水を排出することが可能になったそうで、なんとも古い?技術もまだまだ使いドコロがあるし、新しい事ばっかり考えてると上手くいかない部分があるんだなぁと。
 
 んでもって今回一番ぶったまげたのがこれ。
H2-CO2燃料電池
H2-CO2燃料電池

 二酸化炭素と水素で発電しておまけに炭化水素化合物作っちゃう。現時点では、温度条件になどによって様々であるものの、燃料として二酸化炭素と水素を燃料として、電気とエタノール、メタノール、メタンが得られる。

 そな
 れに

 いや本当に。
 二酸化炭素+水素で発電ってなんですか、的な。冗談みたいな本当の話。
 マジで凄い。というかあんまりにも凄すぎて頭空っぽになるレベル。
 これは例えば宇宙ステーションで排出された二酸化炭素が、発電用の燃料として再利用できる事になる(水素は必要だけどこれは、水を電気分解することで得られる、電気は太陽電池パネルでいくらでも)。
 でももっと凄いのが地上での活用。今までは排出されるだけだった二酸化炭素が、これからは工業用原料として利用できる、発電も出来る。水素は、例えば海上に太陽電池パネル並べて海水から真水を生成しつつ電気分解すればいくらでも。
 インパクトがありすぎる。

 例えば、大規模発電に適した燃料電池システム(溶融炭酸塩形燃料電池)の場合、二酸化炭素の排出濃度は排気中の80%に達する。これを新しく開発された二酸化炭素-水素型の燃料電池の燃料として導入すれば、電力が得られる上に二酸化炭素の代わりにエタノールやらメタノールやらメタンやらの化学工業原料が得られることになる。
 そうでなくても、大気中に放出された(すでにある、かつ無料の)二酸化炭素を何らかの方法で回収するだけで、工業原料になってしまうのだ。
 大変すぎる。

 こうした反応は、もともと研究者の間では「理論的には可能である」と指摘されていて、ただ現実問題としてそうした反応を起こすことは(現時点の技術では)困難なんじゃね?と言われていたもの。それを、実験室レベルとはいえ現実的な反応として実現してしまったのもトンデモな事。

 何よりも、今までの燃料電池は「二酸化炭素を排出しない」という点が最も大きな利点として取り上げられていたけど、この反応は「二酸化炭素を排出しないだけでなく、既に排出された二酸化炭素も回収して(それまでと比べると大幅な低コストで)化学工業原材料として利用可能な資源にできる」というのがすごい。
H2-CO2燃料電池の生成物は工業原材料
捨てていたものから工業原材料が作れる、電気も作れる

 現時点での問題は、特に需要が高く、早い段階からの採算が見込めるメタノールだけを特に選択的に生成する方法の確立だとか。
 もうすごい。としか言い様がない。
 話してくれた方も最初に聞いた時に愕然として「これは大変なことですから電話口で話さないでくれ、明日聞きに行って守秘義務契約結ばないと聞きたくない」と言ったほど。
 今はもう学会誌とかで発表されているようだけど、そのインパクトはもう何とも……

 凄い時代になったもんです。

 今回の電池のブースで印象に残ったのは他にも幾つもあるのですが、頭に残ってるのがこれくらいで……本当に大変な発表じゃね?って思う割に地味な展示でいいのかこれ的な。


●んでもって
 だいたい会場内一巡りしたんですが、後で後輩や友人から聞いたり(今回も様々な展示を見るので手一杯で、小講座とかまったく手が回らなかった)した話とかネタとかをちょこちょこ。

 イプシロンやH2Bの打ち上げの際、近隣に住む人には一時的な避難をお願いするというのは今回初めて知ったのだけど、そこでの苦労が意外な感じで面白かったり。
 で、大体二百世帯ある避難対象地域に住んでいる方は協力的で、スムーズに事が進むのだけど、そうは行かないのが農家が飼っている牛の皆様。肉牛を出荷する畜産農家の方が多い影響で、だいたい妊娠した娘さん(牛)がみっしり。
 人間の移動は簡単だけど、牛の移動は産婦人科をまるごと移動させるようなもので、紆余曲折がてんこ盛り。延期しようものなら、二回目の打ち上げとなると、妊婦さん(牛)が不自然なまでに非協力的で、実に大変な事になるのだとか。

 知らなかった、そんなの……

●JAXAランチ
 スペースランチ!!
JAXAスペースピラフ
スペース!!スペース!!

 見本だけど。
 後輩が食べてたのは美味しそうだった。自分はというと、その前に宇宙きなこ(宇宙生物学のところ参照)の揚げパン食ってしまった影響で腹一杯で食べられなくて無念……


●ロケットの色
 μⅤやH2ロケットの赤い部分、これは実はわざわざこう塗り分けてるんじゃなくて、中の液体酸素や水素を外気の熱から守るための「断熱材の色」。発泡しているんで、表面は滑らかでなくて実はふつふつとした感じで凸凹していたり。で、この断熱材、塗られた直後はベージュに近い黄色なんだけど、光に当たるとだんだん赤くなる性質があるのだとか。なもんで、打ち上げが延期されたロケットほど赤くなっていくのだそうです(確かに、JAXA相模原に展示されているμⅤロケット9号機の赤い部分は真っ赤っ赤になっている)。

μⅤロケット9号機
記事とは関係ないけど、展示してあるμⅤは未使用の実物なので配線類がそのまんまになっている

●国際協力宇宙望遠鏡
「みんなで打ち上げるとみんなで使うので取り分が少ない……自前、いいよね……」


●んでもって
 今回の特別展示のいろいろは、これでひとまず終わりなのですが、ほんとうに色々面白くて全部紹介するのはとても無理で……自分も様々なミニ講演についてはすっかりスッポ抜けた(聞きたくても、時間がなさすぎて聞けない……)状態で、見て回れなかった事に残念感溢れるところもあったり。
 ほんとうに興味深かったことの一つに、ある展示ブースで聞いた話が、別のブースでの話に繋がっていたり、あるいは補完されていくところだったんじゃないかと。同じブースでもお話を聞いた方によって専門が違って、同じ衛星でも、観測装置や通信システム、電源などついてのお話を聞けたりとか。
 観測機のターゲットとする「波長」によって、屈折させたり反射させたりの工夫とか、通信もどれだけ短く正確にできるかとか。

 一つの研究開発が、ひとつの研究室で終わらない学際的というか、そんな感じの横断的な何かを感じた次第。
 いやもう本当に楽しかったー
 
当日の最高気温は37℃
デザインが変わって去年より若干疲労度が増していた宇宙飛行士の人
来年も行けたらいいな。

コーヒーまじ美味しい
この一杯が魂を潤す

 んでもって、最初にも書きましたが、今回の特別公開徘徊の記録を同人誌っぽいものにまとめてました。
 これが今回の夏コミの新刊だったのですが、この後、サンクリとかコミティアに持っていく予定です。
 本故にあとからの誤字脱字の修正ができないとか、ページ数の関係で写真が若干足りないとかありますが、気が向いたら委託先サークルの方を覗いてやってくだされー。

 ちなみにこんな本です。

ISAS/JAXA相模原キャンパス特別公開2014に行ってきた話(その3)


 見学してきた日も暑かったけど、今日も暑いわー
 んなわけで見学した日を思い出しつつその3です。

★めんどくさい人のための斜め読み用リンク★
その1その2その3その4

●マイクロサット
 さて、去年は磁気トルカの話で色々驚いたマイクロサットこちらも参照)(磁気トルカは赤外線望遠鏡「あかり」にも搭載されていて、最後の軌道修正とかに貢献してたそうです)。
 今年はマイクロサットで観測した色々を映像で見ることができました。
 ちなみにマイクロサットで撮影された画像。
マイクロサットで撮影された地球の画像
びっくりするほど鮮明

 画面をカメラで撮影しているので分かりにくいとは思うのですが、「小さい」とバカに出来ない鮮明な画像。これは綺麗。DVDに入って売ってたら買ってたレベル。

 あと、こうしたマイクロサットに搭載するための様々な制御機構や搭載されたシステムやセンサを検証するために、大気球などで上空に送って、そこからパラシュートで降下させつつ様々なシステムの実際の動作とかを調べる実験も行っている模様。
マイクロサット機能テスト用実験装置(1)
これだけ見ると宇宙開発に関係有るように見えない

マイクロサット機能テスト用実験装置(2)
昔、月旅行ってロケット花火があったなぁ

 で、今は「より大きな」マイクロサットを目指して色々研究開発を進めているとのこと。
 大きさや重さに限界があるからそこに出来る限りの工夫を詰め込んで行くんだろうなぁと。
 何となく画面も音もショボかったけどゲームは面白いのも多かった昔のゲーム機みたいな(ひどいのも多かったけど!)。


●ハイブリッドロケット
 ヴァージン・グループとかが開発している宇宙弾道往還機Space Ship Twoのエンジンにも使用されているハイブリッドロケットエンジンの色々。ちなみに、Space Ship Two自体は真ん中のちっちゃいカプセル機で、それをある程度の上空まで持ちあげるのは母機のWhite Night Two。

推進方式による噴射炎の違い
固体、液水、ハイブリッド、電気の各噴射炎
それぞれ特徴的

 ハイブリッドロケットは、固形燃料に液体水素などの酸化剤を噴射して燃焼するタイプのロケットエンジンなのだけど、安かったり作り溜め出来たりと利点のある一方、思うように燃えてくれなかったり、逆に出力をあげようとすると振動したりとまだまだ課題も多い模様。


 そういえば、第二会場の上の方で小型衛星の管制を実演?してくれるというか管制室を見せてくれる感じのコーナーがあったんだけど、時間指定とかあって、断念……2日じゃ足りない……

●中庭の宇宙探査ロボット(ローバー)
 よく見たかったんだけど……暑くて暑くて……写真だけ……
なんでかこれだけ巨大

去年も見た子

赤い非常停止ボタンが印象的な

真ん中の金色の窓のついた黒い箱は赤外線カメラ?ヒートシンクもついてるし
そういや、屋上からパラシュート落すコンテスト?的なのもやってたんだけど、これも暑くてあんまよく見なかった……


●第三会場
●ディスティニー、プロキオン
 去年は「赤くして角をつけて三倍速」のネタが酷かった(褒め言葉)DESTINY

前後が逆です
三倍です
様々な将来のための小型科学衛星ですが、実際は太陽電池パネルの展開くらいで、変形こそしないものの三倍どころの騒ぎじゃないUNICORN並みの新規技術先端技術の詰めっぷりの可能性のKAIJU。なのですが、今回は同じブースでPROCYONと呼ばれる更に小型の50kgサイズ衛星が紹介されてました。
 PROCYONはこじんまりとした感じで、目立ってはいなかったものの、DESTINYよりだいぶ小さい衛星にもかかわらず、「より小さく作れば、より新しい技術を、より安価に、より速く詰め込んで打ち上げられる」という感じで、じんわり進んでいるようです。

 例えば、2014年に打ち上げられた、わずか30kg程度の東大のナノサット(Nano-JASMINE)ですが、1989年に打ち上げられた欧州宇宙機関のヒッパルコス、なんと1トンの重量を誇る堂々たる大型衛星と同等の天文観測性能を持っています。25年で30分の1の小型化を達成できたという事になるのですが、これくらいのサイズであれば、H2Bなどの大型ロケットではなく、中型~小型のイプシロンロケットでも地球軌道上ではなく、遠くの深宇宙を目指すことも可能になってきます。

 またこうした小型観測機を、後の大型観測機の露払いとして先行探査させることで、問題点を炙り出し、全体としてのコストダウンや信頼性向上に役立てることも出来るという利点も。あるいは小さい観測機を連続して送り込むことで、少しづつアップデートされた観測装置で同じ観測目標を立体的に観測する方法も可能になるんじゃないかと。

 一つ一つの衛星をゼロから作るのではなく、共通化されたバスと呼ばれる規格を作り、それに必要に応じたスラスタ、電源、観測装置、通信系などのコンポーネント(PCで言うところのCPUやメモリやグラボなど)を組み合わせることで、開発期間とコストをさらに減らしていこうという方向性で進められているようでした(衛星の共通バスに関しては、大型衛星でも様々なものがあります)。
PROCYONアンテナ類
XHGAが高利得、XLGAが小利得、XMGAが中利得のアンテナ

PROCYONで使用されるパーツ
何のパーツか忘れた(おい)けど、これも町工場製
そんなこんなで展示してあった小さなアンテナ。一辺30~40cmくらいの小さなものですが、これであの「はやぶさ」の高利得アンテナ(一番でっかいパラボラアンテナ)と同等の性能を持っているというスグレモノ。脇の小さな丸いものは低利得アンテナですがこれなんかは、ちょっと大きめのコマ的なサイズ。
 そういえば、あの「はやぶさ」も、打ち上げはもう10年以上前の2003年。機材の開発はそれ以前だったんですよねえ……それを言ったらスペースシャトルとかは、50年代の発想を60年代に設計して70年代の技術の粋を集めて完成させたものなのですが(ただしそれを補修改修を交えつつ30年間も使い倒したNASAはすごい)。

 一つの探査機の打ち上げに準備期間から考えて十年近く掛かってしまう現状を考えると、こうした小型衛星で技術の新陳代謝と実証のサイクルを早めるのはすごい重要なんじゃないかと。
 また特にこうした小型衛星の観測装置は、大手メーカーではなく下町の町工場で開発されているのだそうです。やっぱり小さい会社だとフットワークも軽い感じで。


●スペースサイエンスチェンバー
 んなわけで、去年は磁気セイルやら、大気圏再突入時の断熱圧縮によるプラズマを磁気で「押し返す」という驚きの技術を紹介していたスペースサイエンスチェンバー。今年は人工オーロラが見えるということで期待して行ったら故障中でした。
故障でお休み
オオゥ...

 無念。

 今回は、真空チェンバ『スペースサイエンスチェンバー)内で問題が発生したのは分かっているのですが、その修理のためにチェンバーを開いてしまうと、再度オーロラを発生させることが出来る程の高真空に減圧するのにほぼ一日掛かるため、今回は展示不能になってしまったということでした。
 あれだけの大きなチェンバを減圧するのはやっぱり大変なんですねえ……
スペースサイエンスチェンバ内部(1)
扉側の窓からチェンバ内を見る

スペースサイエンスチェンバ覗き窓

スペースサイエンスチェンバ内部(2)
上のCの窓から中を見る
そういえば、展示の説明を見ていたら、スペースサイエンスチェンバーで行われる実験の一つに電離層の再現とかがあって(確かにオーロラも電離層で見られる現象の一つ)、電離層の変動がGPSなどの測位システムの誤差の原因の一つになっているのだそうです。


●第四会場
●温めたり冷やしたり
 去年も衛星の熱に関して色々やっていた宇宙環境試験室。今年も熱に関する色々が。
 ヒートパイプやら何やらは去年も展示されていたのだけど、今回はループヒートパイプが紹介されてたり。
 これは要するに冷媒がグルグル回ってる感じのエアコンや冷蔵庫みたいな感じのシステムなのだけど、必要に応じて冷媒を温めることで「どれだけ冷やすか」の制御ができるようになっているところがポイント。宇宙だと普段使いのPCと違って、単なるヒートパイプでは「冷えすぎる」可能性もあるため、別にヒーターとか積まなきゃならない場合もあったり。で、ヒートパイプでの冷却を制御することで、必要な時に必要なだけの冷却ができるようになるのだとか。
 このループヒートパイプは様々な温度に対応できる上に、細かい温度調整が可能だということで、衛星の熱制御に貢献できるんじゃないかと(ヒートパイプ自体は、NASAが人工衛星の冷却に使ったのが初めて)。
 他にもくし形?のヒートパイプとか、色々あって、これも温度調整可能とか単純な仕組みでも色々あるんだなぁと思った次第。

 で、個人的に面白かったのが断熱材の話。これも去年出てたんだけど今年はもう少し詳しく聞けた。
 去年は、人工衛星の断熱材はベルクロで貼ってあったりとかの話が聞けたのだけど、今年は断熱材そのものの話が多かった。人工衛星や観測機に使われる断熱材で一番重要なのは、あたりまえだけど外部の熱を遮断すること。これは普段使ってる冷蔵庫と同じ。なもんで、実は人工衛星の断熱材も、冷蔵庫の断熱材も「熱を伝えないようにする空間を作る」という基本的な構造は同じ。
 最近の高級冷蔵庫で一部使われ始めてる真空断熱材とかがあるけど、宇宙の場合はそもそもほぼ真空なので、断熱材の気密に関してはほとんど気にする必要はなかったり。ただし、断熱材の表側と裏側の素材が接触していたら、そこから熱が伝わってしまうので、どうやってここに隙間を開けるかが一番の工夫のしどころ。
「あかつき」断熱材
中のアルミ箔スペーサーに凸凹(エンボス加工)を付けたタイプ

 今までは、断熱材のスペーサーとして樹脂製のメッシュを挟んでいたのだけど、これだと耐熱温度が120℃まで。使えないわけじゃないけど、使えるところが限られていた。そこで今度はアルミの薄い材料に直接凹凸をつけて(エンボス加工して)みたのだけど、これだと結局触れたところから熱が伝わってしまう事になって、効果が無いわけじゃないけど、充分じゃなかった。
 そこで開発したのは熱伝導性が低くて、耐熱温度が高い樹脂、ポリイミドを発泡スチロールみたいに膨らませたもの(写真は去年のレポートに載ってます)、ポリイミドフォームを使ってみることにしたのだとか。これが結構具合よくて、かなり良い結果を出しているとの事。実際の衛星にはまだ使われていなみたいだけど、これから期待のできる断熱材見たいな感じで。
 IKAROSのところでも出てきたポリイミド。色々なところで使われてるんだなぁと。


 第四会場では、もう一つの展示エリアで、小惑星イトカワから回収された砂粒を顕微鏡で見るイベントがあったのですが、小講座をまったく見て回れなかったのと同様、時間的体力的な問題で、こちらも見送らざるを得ませんでした……


●第五会場
構造機能試験棟
何処もデカいけど、一番デカい

 さて、生協とかの売店もあって、見通しがよくて天井の高い第五会場。今まで気が付かなかったけど、μ-Ⅴロケットのフェアリングの展開試験の写真とかが飾ってあったり(写真撮り忘れた!)と意外なところが面白い第五会場。今回は、風洞実験棟が公開されていなかったためにここがラスト。
 でも今回ここが一番面白かったり。
 さて詳しくじんわりと。
 
●JEDI(数値演算によるシミュレーション)
 JEDIは去年も紹介した数値演算シミュレーションで、大規模になりすぎたり、条件が厳しすぎたりして実験することが難しい色々をコンピュータによる計算で再現して確かめていこうというところ。
 去年も説明したけど、ロケットの轟音はそれだけでロケットエンジンの効率の低さを表すものだし、その轟音やら振動はロケットそのものや載せている衛星(ペイロード)にダメージを与えかねない。そんな訳で、ロケットエンジンの効率化や騒音振動からロネットあるいは衛星を守る必要があるのだけど、いちいちロケットを打ち上げて確かめていたのでは時間もお金も幾らあっても足りない。
 そこで数値演算シミュレーションが役に立つわけだけど、ロケットの音は、主にロケット本体と空気の摩擦によるマッハ波と、ロケットエンジンからの噴煙の地面との衝突から生まれている。特に発射直後の振動はロケットの大敵。
ロケットの振動は衛星にもロケットにもつらい
影響を減らすための発射台の形状変更

 ところが、μⅤロケットの頃までは、この発射時の振動と騒音を計算する方法は、40年ほど前(アポロの時代!)にNASAから発表された方法をそのまま使ってたのだけど、。当然その頃はまだ騒音や振動がどのように発生するのか、今ほど詳しいことは分かっていなかったため「大体のところのこんな感じ」というレベルでの計算しかできなかったのだとか。当時は最新鋭のコンピュータも今の電卓程度に毛が生えた態度の性能しかなくて、多くは人力計算機に頼っていたことを考えると仕方ないのだけど。
 こうしたことから、後から数値演算シミュレーションで調べてみたところ、ロケットや衛星に逆にダメージを与えてしまっていたと後から気がつくことも少なく無いとのこと。
 数値演算シミュレーションによる成果の一番わかり易いところの一つが、ロケット発射場の特に射点の真下、ロケットの噴射をどう逃すかの構造。μⅤロケットの頃の、上に屋根のない滑らかな構造と、イプシロンロケットの噴煙を誘導する洞というか焼物の窯のような構造の差が見た目にも分かりやすいんじゃないかと。

 この構造のお陰でイプシロンロケットは発射時の騒音振動をかなり抑えることが出来ているとの事。ただ、実際のところ、同じロケットを打ち上げた時に、騒音がどんだけ減ってるかは聞きそびれてしまった。

 数値演算シミュレーションは、もちろん射点の構造の懐石だけに使われているわけじゃなくて、ロケット全体の性能や、大気圏を突破するまで衛星を守るフェアリングの構造、ロケットエンジンの内部の燃焼とかにも色々使われているのだけど、ここで問題になるのは計算の方法。
 数値演算シミュレーションには、必ずやらなければならない事がある。それは数値計算のために、それぞれの部分のブロック分け。ロケットのための計算ならロケットとその周囲の空気まで全てをブロック分けしておく必要がある。この分けられたブロックのひとつひとつのことを構造格子と呼ぶのだけど、この構造格子の一つ一つについて、それが何なのか(素材など)と、それにどういう力が掛かるかを計算して、その結果を周囲のブロックに反映させ、それを時間単位ごとに必要な時間分だけ計算していくのが数値演算シミュレーション。もちろん、ものすごい計算能力が必要になる。
 たしかに昔に比べればコンピュータの計算能力はあがったけど、ロケット全体とかの詳しい挙動を調べるとなると、さすがに時間がかかりすぎる。そこで出てくるのが構造格子をいかに効率よく置くかという事。構造格子は計算する単位だから、数が多ければそれだけ詳しく正確な計算ができるけど、その一方で計算に必要な時間はものすごい勢いで増えていく。減らしたら計算時間は減るけど、逆に正確さが失われてしまって、シミュレーションする意味がなくなってしまう。
 そうした難しいバランスが求められる構造格子なのだけど、今のところ、全体を分割する方法には、マルチブロック格子と非構造格子のという2つの方法がある。マルチブロックの方はとにかく立方体(直方体)に分割していく方法、非構造格子は立方体じゃない(放射状だったり、とにかく立方体か直方体ではない形に)形に分割していく方法。
 これにはそれぞれ利点があるのだけど、こうした構造格子をどう分割していくのかは、今まで人間が決めていたので非常に大変な手間だったり。そこでこの構造格子自体をスーパーコンピュータに自動的偽性させて、計算制度を上げつつ手間を減らす研究が進んでいるんだそうです。

 これ以外にもロケットエンジンの内部でどの様な燃焼が起こっているのかとかのシミュレーションとか(前に書いたハイブリッドロケットもこの中に含まれてるみたい)、後で触れる再使用ロケットについても研究のためのシミュレーションが進められている感じで。

●再使用ロケット
 去年は実機がカットモデルじゃないけどカバーを外した状態でしっかり展示されていた再使用ロケット、今年は宇宙博の方に展示されているとの事で、カバーというか外装のみの展示(中身はこっち)。
再使用ロケット、カバー
中身は空っぽだった

どうぞ撮影して下さい
子供に大人気

再利用ロケット用無線LANシステム
去年も書いたけど、ケーブルを減らすための無線LANシステム
宇宙通信コーナーの方にあったのだけど

 もっとも子どもたちにはそっちの方が分かりやすかったのか、去年よりも多くの子が写真撮ってたりしてました。

 今年面白かったのが、再突入の方法の見直し的な展示。
 前回までは垂直に発進したロケットは、軌道上に登った後、再び尾部から大気圏に突入して戻ってくる様な肝心だったのですが、今回は再突入時には頭から突っ込んで、ある程度高度を落とした後で(おそらくは大気の断熱圧縮が起きないほどに減速した後で)尾部を地上に向ける方法に変わったこと。
 これには、先に紹介したJEDIでの数値演算シミュレーションの結果が反映されているみたいで、主にエンジンを保護するために、この方法をとったほうが良いとわかったそうです。去年紹介した電磁石で大気の断熱圧縮熱を回避する方法とか色々組み合わせていく事になるのかな?
 これからまだまだエンジンや再突入の方法とかが変わってくるんだろうけど、毎年見ていると少しづつ進化してるんだなと。

●宇宙通信
 再使用ロケット内の無線システムとか、あるいは人工衛星との通信とか色々あるのだけど、詳しく聞くには力尽きてしまっていた宇宙通信コーナー……

 はやぶさから送信されてきたデータを受信したものをほぼ生の状態で人間の耳に聞こえる波長に変えたものを聞かせてもらったんだけど、デジタルデータのはずがすっかり丸まってしまっていて、か細い囁きみたいでした。
 あと、受け取った電波を増幅するアンプがメッチャ巨大で熱い。
ガリウム素子で冷却する1kw級パワーアンプ
観測機から届いた信号を増幅するアンプ
熱い


●火星飛行機
 去年は火星飛行機というよりは、プラズマアクチュエータの事をメインに書いていたのだけど、今年もそんな感じで。

 何で火星で飛行機なの、と言われたら「速く動けるから」というのが多分一番分かりやすい答え。
 今現在も幾つもの火星探査機が火星の地上や軌道上から、様々な観測をしているけど、地上じゃ時間がかかりすぎるし、軌道からじゃ細かいところが良くわからない。なもんで、飛んでいったほうが速いという発想。

 ところで火星を飛ぶのがどんだけ大変かというと、これがまたすごい大変。そもそも火星は地球の1%くらいの大気しかない訳で(地球だと成層圏の真ん中辺り、高度15~20km付近に相当する薄さ)、もし火星が地球と同じ重力(1G)だとすると、同じ重さを浮かせるために必要な翼の面積は大雑把に100倍は必要になってくる。もちろん翼そのものの重さを持つのだからそんなに簡単にできるもんじゃない。けど、火星の重力は地球の1/3。なので必要な揚力もこの1/3になって、だいたい地球の33倍の翼を持つことができればどうにか飛べるんじゃないかと、理屈ではそう言える。

 だけど、そんな簡単に行くわけない!ってまさにその通りで、例えば推進力を得るためのプロペラも大気が薄いために大きくする必要があるし、そもそもプロペラを回すための動力をどうするんだって話になってくる。もしジェットエンジンを持っていったとしても、火星の大気には酸素がないから使えない。さらにモーターで飛ぶとしても、地球より太陽から離れた火星の軌道では、同じ面積の太陽電池パネルを持って行っても、地球で得られる半分程度の電力しか得られない。おまけに滅多矢鱈に寒いため、肝心のバッテリやモーターの性能が大きく下がる可能性があるというナイナイ尽くしの状況で、とどめは送った電波が相手に届くまでには片道7分から最大44分かかるという、リアルタイムな通信がほぼ不可能という距離の問題。これも公転のタイミングで、火星と地球が間に太陽を挟むような位置になると完全に通信不可能になってしまう。

 そのため、火星飛行機は降下から飛行に至るまで、火星の飛行機は地球からの連絡を待つことなく、自律判断で飛ばなければならない……(このあたりは火星探査機全般に言える話なんだけど、飛行機だからより、リアルタイム性が高くて複雑な判断が求められる)

 無茶ぶりにも程があるけど、それでも色々研究は進んでいるようで、後で詳しく触れるプラズマアクチュエータもこうした研究の中で生まれた技術の一つであることを考えると、思われている事から様々なものが生まれていくんだなぁと。
 
火星飛行機
プロペラの形が凄い特徴的
さて、今回も見てきたプラズマアクチュエータ。重複になる部分が多そうなので、とりあえずは去年の書いた色々と撮ってきたのを見ていただければいい感じで(こっちこっちも参照)。


(プラズマアクチュエータが稼働する動画。15秒あたりで稼働し始めるが、翼に対する煙の挙動が変わる)

 今回は実際に動作しているところを見せてくれるコーナーもあって、手作り感溢れる実験装置にも関わらず(気流を作るための吸気用ポンプが掃除機で、整流板がストローの塊だったのは、すっごい納得できる)、実際に自分の目で翼の周囲での煙の挙動が変化していく様子を見られてすごい驚いた次第。
 これはやっぱすごい技術じゃないかと。
 
プラズマアクチュエータ実験装置
動画の実演装置、真ん中の黒いのが翼
貼ってある銅色のがプラズマアクチュエータ

プラズマアクチュエータ稼動状態
翼の上面の紫色がプラズマアクチュエータ稼働状態での放電

プラズマアクチュエータだけ
プラズマアクチュエータだけ、超薄い
プラズマアクチュエータは、既に一部で実用化され始めているようだけど、今回見てきて面白かったのは、「実際にこういう挙動をする」という事は分かっていてもそれに対しての理論付けがまだまだ遅れていることと、試行錯誤の途中という印象が強かったこと。

プラズマアクチュエータの問題点
プラズマアクチュエータの問題点

 「プラズマアクチュエータが有効だ」ということは分かっていても、どうやれば最も効率的になるのかは実はまだ理論化されていなかったり。翼のどの位置にプラズマアクチュエータを装着すればよいのか、どれくらいの電圧を掛けてやればいいのかや、その周波数、さらにはどのタイミングで電圧をかけるのか(連続してかけ続ければ良いのか、パルス的にインターバルを挟むと良いのか)などなど。現段階では、様々な実験を繰り返している状態。

 まだまだ面白そうなことになりそうな技術なのです。


 んでもって「その4」へ続く!

ISAS/JAXA相模原キャンパス特別公開2014に行ってきた話(その2)


その1」からの続きであります。
 暑いー

★めんどくさい人のための斜め読み用リンク★
その1その2その3その4

●生物調査(アストロバイオロジー)
「宇宙に居るのは我々だけかい?」(なんかのSF)
「わしら何処から来たんだっけ?、わしらって何だっけ?、わしら何処に行くんだったっけ?」(ゴーギャンの絵画のタイトル)
にもある言葉がこうした調査の原動力。

 今までJAXAで地球外生命体とか調べてるところ(リンク先は英文ばっかりでサッパリ分からんので、こっちも参照)があるとは知らなかった。
 今回はじめて知った感じで。
 ただ、アストロバイオロジーって言葉から分かる通り、地球の生命が地球外で行きていけるか(人間の手以外で地球外に出て行った生物がいるのかどうか)というのも一緒に調べているというか区別しないで研究しているみたいな。
 
 例えば、宇宙生命でなくても地球でよく見られる細菌が、宇宙空間の環境に長期間耐える可能性があることは結構前から指摘されていて、火星探査機にもし地球由来の細菌が付いていたら、それが火星上で繁殖して、生物調査に影響をおよぼすのではないかと言われているし、実際、実験のために軌道上に送られた植物の種子が、地球に戻ってきても問題なく生育してたり(今回の特別公開でも、そうした実験で送られた大豆の子孫に当たるものが、きなこに加工されて「宇宙きなこの揚げパン」的な名前で売られていたり)。もちろん、実験で軌道に送られたこうした種子は、そのまんま大気圏を突破してきたわけでなくて、宇宙飛行士が回収したり、回収カプセルの中に収まって地上に戻ってきたのだけど。
 じゃあ、人間が何かしなくても(人間以外の)生物は宇宙に出ていくものか?、という疑問に答えをだすべく、大気球や航空機を使って大気の中に散らばらる塵とかを調べてその中に生物が居るかどうか色々調査してたり。
 今回の展示では、高度12~35km程度の上層大気圏に納豆菌の仲間が、高度0.8km~1.2kmにデイノコッカス属と呼ばれる最近の仲間が見つかっているらしい。
 もちろん宇宙に生物を見つけるための研究も積極的に進めているのですが、そこはそれ、様々な研究項目の中ではかなり後回しにされる調査のようで、現状ではまずは地質調査が優先されて、地球外生物調査は注目度が高いにもかかわらず基本的に「おまけ」とされているのだとか。で、そこでヘコタレないのが研究者。様々な調査観測の中に自分がやりたいものと重複する部分があるかを探しだして、その調査を主導しているところに出向き、「そっちの調査に負担掛けないで(予算的にも時間的にも重量的にも)一緒にできるから」と説明して自分のやりたいものを仕込むかが勝負になっている模様。
 面白いのが、こうした理由と必要性から、数多くの惑星探査機や地球軌道上にある人工衛星、地上や宇宙にある各種望遠鏡その他の様々なジャンルや方法の研究を、横断的、俯瞰的に取り込む事ができる点。
 例えば、宇宙生物調査が主題であるのに、宇宙空間、これは高真空と極端な高温と低温、そして磁場や宇宙線の問題がある場所で、機械の潤滑や密閉をどう保つかの方法や、それに関わる材料を研究したり、あるいは、火星の土壌の中に微生物が含まれているかを調べるのに、DNAを蛍光発光させる物質を混ぜたいのだけど、その物質が溶けた水を観測機器の中で土に掛けた時、火星の低重力下でその水がどのような挙動を示すのか分からないので、それを研究したり、といった「それ直接生命調査と関係あるの?」と言いたくなるような、広いジャンルでの研究を行っているのだとか。
アストロバイオロジーコーナー掲示ポスター
DNAを染色して蛍光を発する水を掛ける

 他にも宇宙の起源から、生物が生きていける惑星系の形成、惑星や宇宙空間での有機物の合成、地球上の生物の研究やその進化などなど、本当に幅広い研究をしている。
 
 こうした間接的な研究調査以外にも、たんぽぽ計画と呼ばれる直接的な調査計画があったり。
 これは、国際宇宙ステーション(ISS)に地球由来の生物(種子だの細菌だの)を持って行って、地球軌道上の宇宙空間に暴露して、どのような影響があるのかを調べたり、宇宙空間に漂う塵やら何やらをエアロゲルで回収して、その中に地球外生命体、もしくはそれに由来する痕跡を探すもの。
 宇宙を漂う塵で何か分かるのかというと、例えば土星の衛星エンケラドスは、その表面の分厚い氷の下に、液体の水の湖があることがほぼ確実で、時々それが吹き出したりしているのが観測されていたり。で、もしエンケラドスに細菌みたいな地球外生命が居たとすると、水が宇宙に吹き出した時にそれと一緒に凍りついて宇宙空間を漂っている可能性がある。直接、木星だの土星だのの衛星に行って観測調査するのが確実だけど、予算も時間も大変なことになる。でも、向こうが勝手に吹き出した水の中にそれがあれば、地球軌道上でその塵や氷の粒に見つけられるかもしれない。一回や二回で確実なデータが得られるかは微妙だけど、こうした実験を何回も繰り返すことで、地球から出てきた生物が見つかっても、宇宙からやってきた生物が見つかっても、人間の手を借りずに宇宙に旅だった生物がいるのだけは確認できるわけで。どっちが見つかっても「宇宙はやっぱり生き物でみっしり詰まっている」と言えるようになるのだとか。
 抜ける手はどんどん抜いて、でもキッチリ結果を出すために研究者は日夜色々工夫しているのであった。興味は尽きない感じで。

●DARTS
 JAXA/ISASの膨大な観測データを公開しているところなのだけど、こんなポスターが貼ってあった(中ではちゃんと様々なデータを閲覧できるような展示がありました。さっき出てきた月(天体)ディスプレイとかも)。

DARTSのポスター
コミポ大活躍?

 この画像を見た人は口をそろえて「くーろんずだ!」というので、何のことやらと検索してみた。

 うn
 くーろんずだ。

●第二会場
●電波望遠鏡
 第二会場に入って初っ端の部屋に入ると、いきなり地味な展示。でも実は毎回楽しみにしている電波望遠鏡のブース。
 今回は子供向けに星図を作るコーナーとか設置されていて、子供がそれなりにみっしりだったのだけど、やっぱり色々聞くことが出来て面白かった次第。

 さて、昨年「電波望遠鏡はパラボラの大きさが観測性能を左右する、望遠鏡をひとつ宇宙に持っていけばそれだけの大きさのパラボラが確保できたのと同じ」と書いたのだけど、今年もその辺りの話が色々出てきたり。
 面白かったのが、電波望遠鏡を大気球にぶら下げて上層大気圏にまで持って行って、そこで観測しようという計画。
電波望遠鏡主鏡
ヘラ絞り職人さんの手作り

 ちょっと考えると、大気球だと衛星ほど継続して観測できそうに無いのは分かるし、風船にぶら下げられた手紙の如く、どこに行くのか風次第。特別公開の現場では大気球でどれだけの継続観測ができるのか聞きそびれてしまったのだけど、後から調べると、だいたい100日間くらい観測することを目標としている感じ。大気球で観測機器を持ち上げられる高度には観測機器とかの重量もあって、制約があるけど(もっとも人工衛星でも重量制限には厳しい物があるけど)、それでもほぼ宇宙空間と同じ観測性能が確保できる。
 衛星を打ち上げる場合の10%くらいの費用で、衛星の10%以上の寿命が確保できれば大体問題なしというのは、確かに理にかなってるし、人工衛星と違って、かなりの短期間で気球に載せられることを考えると、これは確かに大きなアドバンテージ。
 聞いた話の中でも「自分で買ったマザーボードや調整した観測機器をほぼそのまま積み込める」とか人工衛星にはない大きな自由度があるみたいな。
 それに細かい条件が少なくて、打ち上げまでの期間が短いので、割と最新の観測機器を載せられることも重要。ロケットで打ち上げる場合は、開発の遅れや打ち上げの延期とかのせいで、軌道に乗った頃には、観測機器が時代遅れになってしまって、地上からの観測と大して変わらない結果になってしまったとかもあるし。
大気球による電波望遠鏡観測
これくらいのサイズでも自重での変形を気にしないとダメなのかー

 そして上空で長時間観測を続ける必要がある電波望遠鏡とかにとっては、浮かべた大気球がどんなルートを通って、その軌跡をどう制御するかはかなり重要な問題。この軌跡制御には幾つかの方法があるのだそうだけど、調べた限りだと、高度によって異なる風を利用して、行ったり来たりする方法があるみたいな。
 ジェット気流みたいな上空の定常風に乗って延々と回り続ける方法の他、ある高度まで浮き上がった気球がそこで一旦必要な分を残してある程度ガスを抜いて高度を安定させ、風に乗って観測を続け、予定された場所まで来た時にバラストを捨てて上昇。反対方向に吹く風に乗って戻って、最後に元の場所の近くで気球を切り離して降下という方法もある模様。

 で、さっき書いたとおり前回は複数のパラボラがあって、その間の距離が稼げれば電波望遠鏡としての性能は上がるのだけど、実は他に「観測機器の性能」と「観測周波数(観測密度)」の2つの要素がある。
 観測機器の性能は分かりやすいけど、観測周波数って何だろう?って思ってたら、そのまんま一秒間にどれだけ観測できるかという事だった。
 詳しく聞いてみると、パラボラの口径や観測機器の性能(一度に観測できる情報量)が同じなら、なるべく数多く観測できたほうがいい。そこで観測周波数を上げて、多くのデータを得て、全体としての情報の精度を上げるらしい(この三要素は宇宙に飛ばす観測機でも同じだけど)。
 今まで考えたこともなかった話なので、ちょっとビックリ。
 そもそも電波望遠鏡の場合、観測機器から得られるデータの95%はノイズなのだとか。
 例えばハッブル宇宙望遠鏡から得られる生の観測データも、飛び交う宇宙線やら太陽風やらその他色々の影響で一枚だけ見ると何だか良くわからないくらいにガビガビの画像。それを(同じ観測対象を)何十回も何百回も撮影して、データを積み重ねて行って、よく見る美しい映像にしていってる。
 ノイズだらけで全然嬉しくないハッブル宇宙望遠鏡無修正写真。
電波望遠鏡の性能を上げる三要素
ノイズを取り去るためには数多くの観測が必要

 電波望遠鏡も同じことで、本当の電波像を得るために、同じところを長い時間掛けてずっと観測し続けないとならない。けど、観測周波数が高ければ、同じ時間に得られるデータが増えて、結果を得るまでの時間を短くすることが出来る。
 だから観測周波数は重要になるというわけ。
 そして、今計画されている(もう進行してるのかな?)大気球に吊り下げられる電波望遠鏡の観測周波数は2Gbps。bpsはビット・パー・セカンドの略で、一秒間にどれだけのデータ(ビット、0か1かの数字)を送れるかの単位。2Gbpsだと一秒間にだいたい2億6千万バイト……だいたい256Mバイトのデータを得られる(計算間違いしてたらスマヌ)。
 初めて聞く説明だし、数字だけだとどれくらいの性能か今ひとつわからないので、実際どういうものなのか聞いてみたら、かなり凄いらしい。
 チリのアタカマ砂漠に設置されている大規模な電波干渉計ALMAだと、それぞれの電波望遠鏡をものすごく太い光ケーブルでつないであるので、16Gbpsの観測ができるけど、日本にある多くの天文台の観測周波数はやっと1Gbps。
 地上にある何十メートルもある巨大なパラボラを気球で持ち上げることは出来ないけど、その分、観測機器の性能と観測周波数を上げて、地上の大型望遠鏡に劣らない観測をやってしまおう、という寸法。

 ところが、せっかく大気球で大気の影響の少ない高度まで性能の高い電波望遠鏡を持ち上げても、気球からぶら下がってるだけで、何処に行ってるのかはGPSとかでわかるものの、素人考えでも望遠鏡がどっちを向くのかとか、安定しないんじゃないかって気がする。その辺聞いてみると、なんと気球で持ち上げる電波望遠鏡(観測機材)にも、人工衛星同様のスタートラッカー(星姿勢計、基準になる星を観測して今どういう姿勢なのかを調べる装置)、吊り下がっているだけの電波望遠鏡を正しい方向に向けたり、振動を抑えるためのリアクション・ホイール、気球とつながっている紐のねじれを調整するモーターなどが搭載されてて、軌道上の観測衛星と同等の姿勢制御能力があるのだとか。
大気球による電波観測
(費用が)安い、(打ち上げまで)速い、(機材への制約が少なくて)簡単

 電波天文学というのは見た目すごい地味なジャンルだけど、話を聞くとやっぱ面白いー。こうした観測装置を駆使して、ブラックホールとかを観測する予定だそうだけど、どんな結果になるのか楽しみな次第。
 あと、地上にある電波望遠鏡の話もちょっとだけ聞いてきたり。今のところ日本とオーストラリアが共同で観測しているらしいけど、これにイタリアだったかスペインだったかが参加してくれれば、ほぼ地球サイズのパラボラに相当するVLBIが可能になるとか。こっちの方もこれからどうなるか楽しみ。
 
 あと写真に出ている大気球電波望遠鏡用のパラボラアンテナ、これはヘラ絞り職人さんの手になるもので、微妙な曲線を出せるのはまだ人間のほうが(費用対効果的なコストパフォーマンスもあって)優れているのだそうです。


●ASTRO-H(X線天文衛星)
 今軌道上で観測を行っている「すざく」こっちも参照)の後を引き継いで2015年に打ち上げられる予定の新型X線天文衛星。衛星本体の底からマジックハンドみたいなのがベロっと伸びているのがヤケに目立つ。
 これはX線望遠鏡の焦点距離を稼ぐための工夫だそうで、マジックハンドの伸びた先に観測機の頭側から入ってきたX線を調べる観測装置が積んである。
 さて、レントゲン写真とかで使われるX線。波長の短い光(電磁波)なんだけど、体を突き抜けて骨とかの状態がわかるほどの透過力がある。なら、なんで地上に望遠鏡置いて調べないんだ?って事になる。これには地球の大気とかが関係している。

 X線は確かに高い透過力を持っているけど、その一方で大気圏を通過する途中で大気に吸収されてしまう。じゃあなんでちゃんと昼は明るく照らしだされているんだ?って事になるけど、細かい理由は置いておいて、大気には吸収しやすい波長としにくい波長がある。んでもって、ちょうど人間の目で見える光(可視光)が大気が一番吸収しにくい波長の光になっていてそれだけが地上によく届く(もし、大気が可視光を吸収しやすかったら、逆に人間の目は赤外線や紫外線がよく見えるように進化していたかも?)。紫外線とか、X線とかは大気がよく吸収してしまうので、地上に届かない。
 そんなわけで、太陽とか星とか宇宙のいろいろな天体から届くX線を詳しく観測するには、観測機器を分厚い大気の外側に送る必要がある。電波望遠鏡のところでも書いたとおり、気球で観測機器を上げても良いのだけど、観測機器を宇宙に打ち上げることには利点と欠点があって、状況によって変わってくるんだけど、X線による観測は、今回は軌道上に打ち上げたほうが良いという判断があったのではないかと(実績やら予算やらその他様々な問題もあるけど)。

 で、最初の「ひさき」のところで触れたけど(その1参照)、極端紫外線はレンズで屈折することができなくて、反射望遠鏡になってしまうことを書いたけど、X線ともなるともっと辛い。光学レンズで屈折することも、紫外線が反射できるような鏡で反射させることも出来ない。
 そこで使われるのが、この筒みたいなの。中は少しづつ大きさの違う筒が、マトリョーシカ人形みたいに入れ子状にみっしり詰まっている。X線を観測機器に集めるためのレンズの働きをするのだけど、この中に入っている薄板一枚一枚がX線を反射する。形は違うけど仕組み的には反射望遠鏡なのかも。

 このX線のためのレンズ、筒が幾重にも重なった構造も面白いのだけど、使われている材質も面白い。幾つかの種類があるのだけど、基本的には薄いアルミ板に何らかのメッキが施してある。今回説明してもらったものは、金メッキとカーボンコーティング+プラチナメッキの二種類。
ASTRO-H、X反射鏡用の鏡
反射面側、裏は乱反射を防ぐためザラザラ

 金の方は、基本的には普通のメッキとしてコーティングしているのだけど、このメッキ層がムチャクチャ薄くて、原子10~12個くらいの厚さしか無い。これだけ薄いと均一にメッキするのもすごい大変で、ものすごい工夫があるのだとか。
 もう一方は、アルミ板の上にカーボンをコーティングしてその上に更にプラチナをメッキするタイプ。
 プラチナとカーボンという組み合わせは、難しい言葉で言えば電子親和力の問題だそうで、この組み合わせが上手く行っていないと、均一な表面になるはずのメッキ面にシワが寄って反射鏡としては使えなくなってしまうのだとか。
 ここで疑問なのが、なんで金と二種類のメッキ方法が出てくるの?ということなのだけど、これはそれぞれの反射方法の違うのが理由。

 金メッキの方は全反射を利用した鏡。もう一方のプラチナ+カーボンメッキはブラッグ反射と呼ばれる反射を利用したものらしい。
 なにその何という感じの用語なので適当に説明してみると、やっぱり面倒なので次の段落まで読み飛ばそう。
 全反射はツルツルな表面を持つものに、浅い角度で光が入ると鏡の湯に反射してしまう現象。これは、風のない日に湖とかプールに行くと、水の遠くの方では景色が反射して写っているのに、手前を見ると水が透けて底が見えるのと同じ。
 ブラッグ反射の方は、これが面倒くさいので適当に。X線回析とかそのあたりの用語なのだけど、均一な原子の並び(結晶とか)にX線がやってくると、ある角度ではX線の波が打ち消し合って、反射が全く起こらないのに、別の角度ではその波が強め合って強烈に反射するという現象を利用したもの。
 どちらも反射面の裏側の表面は荒く処理してあって、無駄な乱反射を避けるようになっている(去年紹介した宇宙赤外線望遠鏡IRTSの主鏡以外の部分が意図的に荒く処理してあるのと同じ)。

 んでもって、この金メッキとカーボンコーティング+プラチナメッキ、どう使い分けているのかというと、反射しやすいX線の波長が違うそうで、特にカーボンコーティング+プラチナメッキは、これまでは透過力が強すぎて反射鏡を突き抜けてしまっていた、波長の短い硬X線をうまく反射させられるようになったとの事。
 このため、ASTRO-Hでは今までは観測が難しかった硬X線を、上手く反射して観測装置に送ることが出来るようになっており、より良い観測結果が期待されている。

 このX線望遠鏡の話を聴いていて面白かったのが、普通のカメラがカラー画像を作る時に三原色に対応したCCDを乗せたり、フィルタを掛けることでカラー画像を得るのに対して、X線望遠鏡では一つのCCDでカラー画像を得られるということ。
 説明してきたレンズ(反射鏡?)で集められて観測装置に入ると、X線が(観測装置の中で)反射した時に、沢山の光子が発生するらしい。この光子の詳しいスペクトルを観察することで、カラー画像の生成が可能になるのだとか。
 何かこう、不思議。

 もうちとつ見てきてなんだこれはと思ったのが、マイクロカロリメータ。何じゃそれと思ってパネルを見たら、極低温に保ったセンサにX線がぶつかった時、センサの温度が上がるから、それを観測してX線の(宇宙線としては高エネルギーだけど、一つ一つの粒子としてはごく僅かな)エネルギーを正確に調べて観測を行おうというもの。
 理屈は分からんでもないけど、それで何が見えるのかと思ったら、今まで可視光とかではプリズムやらで分光して観測することが出来たドップラー効果をX線でも観測できるようになるらしい。「すざく」でもマイクロカロリメータを搭載していて、こうした観測をする予定だったのだけど、肝心のセンサ冷却用のヘリウムが抜けてしまって観測ができなかったり。ASTRO-Hではこうした部分を改良して観測を目指すとのこと。見えなかったものが見えてくるとまた色々新しい発見があるんだろうな。
ガンマ線は貫通する
ガンマ線を反射するのは無理

 さて、ASTRO-HにはX線よりも更に透過力の強いガンマ線の観測装置を積んでいる。ガンマ線は、これはもうアホみたいに透過性が強いので、現在の技術や素材で反射させるのはまず無理。鉛が何メートルあっても足りない。
 そこで、どうせ観測機器を透過してしまうのだからと、ASTRO-Hのガンマ線観測機器(軟ガンマ線コンプトンカメラ)は、検出器を何枚も重ねた構造になっている。これで、検出器を透過したガンマ線の位置と時間を調べれば、どの方向からガンマ線がやってきたか分かる仕組みになっている。
 
 こうした仕組みで、今まであんまりちゃんと観測できなかったX線やガンマ線で輝いている天体を詳しく観測できるようになるということなのだけど、ここでふと疑問が。結局X線やガンマ線で観測できる天体って一体何なんだろう?
 聞いたら「とにかく高いエネルギーを持っていて、熱くなっている天体」ということらしい。
 普段夜空に見える星とかだと数千℃程度。これくらいだと、主に目で見える光、可視光線というのが出てくる。ところがブラックホールとか、銀河の中心とか、あるいは超新星かとか、天体のすごい動きのあるところだと、可視光線よりも、むしろX線やガンマ線のほうが特に強く出てくる。
 可視光線が、宇宙の静かな活動を見せてくれるのに対して、X線やガンマ線は宇宙の激しく活動する姿を見ることが出来るのだとか。だから、こうした宇宙の激しい動きやその仕組を知るためにも、短い波長の光、X線やガンマ線での観測が欠かせないのだそうです。

●あかり/LiteBIRD/SPICA
 さて、去年も色々聞いてきて冊子まで貰ってきた赤外線天文衛星「あかり」こっちとかこっちも参照)と、その後継機SPICA
 今回も色々展示があったので、見てきました。
 去年と重複する部分は、前回の色々を見て頂けるといい感じなので、今回は初めて聞いてきた部分とかじんわりと。

 直前で出てきたX線天文衛星では「宇宙の激しく活動する部分が観測できる」わけですが、赤外線は可視光線よりも波長の長い光。「宇宙の静かな活動が見られる」ということになります。で、普通の望遠鏡では観測するのが難しい静かな天体が見えてくるわけで、それが何かというと小惑星。
 惑星よりも冷たく冷えて、普通の望遠鏡では暗くて小さいので観測しにくいけど、赤外線だとそれなりに見えてくる(やっぱり観測には相応の苦労があるようですが)。こうして、いくつもの小惑星を観測することで、そのうち地球に接近するかもしれない、小惑星を探し出すスペースガードにも貢献しているとのこと。
赤外線による地球近傍小惑星の監視
小惑星を拾ってきてラグランジュ点に置いてみたい

 んでもって、小惑星を赤外線で観測することで温度が分かるのだけど、小惑星も自転する中で、太陽に照らされた部分が温まったり、影になったところが冷えたり。で、その温まり方、冷え方を観測することで、小惑星の大きさやだいたいの成分(性質)がわかってくるのだとか。
「あかり」主鏡試作品
「あかり」主鏡の試作品、SPICAの主鏡はこれよりはるかに巨大

 毎回展示を見ると貼られている、あかりの赤外線全天マップ、今回その他に通路側にもう一枚他の全天マップが貼られていたので気になったり。聞いてみるとこれは、宇宙背景放射なのだけど、電波ではなく赤外線で観測されたもの(正確には、「このような画像が観測できるであろうという推測図」かな?)。
 WMAP衛星とか、その後のプランク衛星で調べられたマイクロ波宇宙背景放射と、どう違うんだろうと思ってたら、どうやら観測できる「時期」が違うらしい。
 宇宙マイクロ波背景放射では「宇宙の晴れ上がり」と呼ばれる宇宙ができてから約40万年後(今から137億年以上前!)の宇宙の状態(物質の密度の差)を見ることが出来るというのだけど、宇宙赤外線背景放射の場合は、基本的にはそれよりもある程度時代が下がって(現在に近づいて)、第一世代の星や、その光で暖められたガスなどが見えているのだとか。こうした赤外線で観測された光は、当時のマイクロ波宇宙背景放射同様当時の宇宙の姿を見せてくれるということなのだけど、実はこの赤外線で観測された光は、何でか理論的に予測された値よりもかなり明るい。
宇宙赤外線背景放射
なんでか理論値の倍くらい明るい

 その原因は今のところサッパリ分からなくて(星で暖められたガスじゃなくて、当時のブラックホールに落ち込んでいくガスが輝いてるんじゃないかとか色々な仮説が出てきているらしい)、また宇宙の新しい姿を見せてくれるのではないかと期待しているのだとか。
 またこの遠赤外線宇宙背景放射には別の観測方法を取ることで、マイクロ波宇宙背景放射よりももっと古い時代の宇宙の姿を捉えらえる方法があるようで、その方法を用いれば宇宙誕生後約10^-38秒の原始の世界(10澗分の1秒、一兆分の一秒の、一兆分の一の一兆分の一のさらに十分の一)で、宇宙にどんなふうに重力が働いていたのかを調べられる。
宇宙背景放射で見られる時代
「あかり」と「LiteBIRS」

 ここまで来ると(ずっとその手前で)素人には何がなんだか分からなくなってくる始末だが、それでも「何だかすげえ!」ってビックリできるからいいか!(微妙によくない)。
 んでもって、ここでの説明で驚いたのが、ビッグバンとインフレーションの順番。
 自分は今まで「ビッグバンで宇宙が始まり、その後インフレーションが起こった」と思っていたのだけど、正しくは「宇宙開闢の後に、インフレーションが起こり、そのあとビッグバンが起こった」という形だそうで。「宇宙開闢とビッグバンは別物」というのは目から地味にウロコでありました。
 これはネットや書籍のの情報とかよく読んでりゃ分かることなのかもしれないけど、思い込みですっかり間違った順番で覚えてた……
 このあたりの宇宙のインフレーションの事を詳しく調べるために打ち上げが計画されているのがLiteBIRDという小型の衛星で、小回りの効いた専門的な観測を目指しているのだとか。詳しくはサイトのほうで色々と。
 
 赤外線にしろ、マイクロ波にしろ、宇宙背景放射は、ダークマターと呼ばれる「今は観測も説明も上手くできない謎の色々」込みの宇宙の状態(物質の濃度の濃淡)で、「宇宙の晴れ上がり」の瞬間に既に出来ていた宇宙の構造を示しているので、これを詳しく観測することで、今の理論が正しいか、あるいは間違っているか検証できるから、今まで分かっていなかったことが明らかになっていくんじゃないかと。さっきも触れたけど実際赤外線での観測は理論値との大きな差がでているし。


 そんなこんなで、「その3」に続くのです。